リクの反応を確かめるように、ゆっくり抜き差しを繰り返す指。 　優しい手付きとは裏腹に、ライルの呼吸は荒く熱い。 　何もかも奪ってしまいたい衝動を堪えているような姿は色っぽくて、中を暴かれる恐怖と圧迫感は次第に薄れていく。 　まだ恋心を自覚したばかりで性急に求められ、戸惑っていたはずだった。しかし、今はこの人にならすべてを差し出しても良いと思ってしまうのだから、自分もたいがい重症だな、なんて頭の片隅で考える。 「んっ……ぁ、ひあっ！？」 　やがて増やされた指が、ある一点を掠めた瞬間に、ぞわりとした感覚に襲われて思わず声が出た。 「ここか」 「ひゃぅ！　そこ、やめ……っ」 　ビクンっと腰が跳ね上がるたび、ライルが満足そうに笑う気配が伝わってくる。 　あやすようにまぶたにキスを落とし、嫌だと言うのに中心的にそこばかり愛撫する。なぜそんなところで感じてしまうのは分からず、混乱しながらもライルにしがみつく。 　そんな姿すらライルを興奮させているとも知らずに。 「だめじゃないだろう？　体がこんなに可愛く喜んでいるんだから」 　可愛い可愛いと繰り返し、逃げようとする体を抱き寄せ快感を与え続けるライル。 　三本目が侵入してきた頃には、もうまともに言葉を発することも出来ず、リクはひたすら甘い声を上げ続けた。 「もう、そろそろいいか……？」 　どれだけそうしていただろうか。 　媚びるような甘ったるい声が恥ずかしいとすら思う余裕も無くなって、過ぎる快感に身を任せライルに縋りついていた。 　ズルリと指を引き抜かれて、その刺激ですらリクの体を弄んだ。 　中を満たしていた物が無くなって、喪失感にずっと固くつぶっていたまぶたを上げる。 　そこには乱暴に服を脱ぎ捨てるライルの姿があり、その合間もリクを射るような目で見つめていた。 　ズボンは脱ぐのすら億劫だったのか、下にずらして下半身の昂りを取り出す。 　それはすでに臨戦態勢になっていて、ドクリドクリと脈打つそれにリクは目を丸くする。 　与えられ過ぎた快感にぼんやりしていた頭が急に冴えて、こんなに大きかっただろうかと今更ながらに怖気付いた。 「リク……」 「え、あっ、ま、ま、待って……」 「待てると思うか？」 　取り出した自身を、先端をあてがうライル。 　世話をしている時に何度も目にしたはずの物とはずいぶんと変貌して凶悪に見えるそれ。 　その凶悪な物を割れ目を往復させ、先走りを塗り込まれた。 　敏感になった体はその僅かな刺激すら反応して、恐怖に慄いているはずなのにさらなる刺激を求めてしまって、無意識のうちに腰を動かし続きを促していた。 「ひぁ……やっ、はいって、る……っ」 　ぬぷっと音を立てて押し入ってくるそれを待ち望んでいたかのように受け入れていく秘所。 　指で慣らされたとはいえ、比べものにならない質量を持つそれが入り込んでくる圧迫感に息が出来なくなる。 　苦しいのに、痛いのに、もっと欲しいと思ってしまう自分に戸惑った。 「ひぃ、んっ、くぅっ……！」 「……キツイな。大丈夫か？」 「だいじょぶ、です……」 　あまりの質量に目尻から涙を流すリクを見て申し訳なさそうにするライルだったが、その顔には隠しきれない興奮の色が見えた。 　リクを気遣い顔中にキスを落としながら、小刻みに腰を揺らすライル。 　本当は今すぐリクの中に入ってしまいたいのだろうに、眉間にシワを寄せながらもほほ笑みリクを安心させようとする。 　それが分かるからすべてを受入れたくなってしまう。 　震える手でライルの頬を包み、そっと唇を合わせた。驚いた顔をしたライルに、リクも余裕が無いながらにほほ笑み返した。 「だいじょ、ぶ、ですから……」 「……っ！」 　大丈夫、もう覚悟は決めたから。僕もアナタが欲しいから。 　そんな思いを精一杯つめ込んでまたキスをおくれば、いとも簡単にライルの枷が外される。 「っ、すまない……っ！」 「ぁ……んぁあっ──！！」 　辛そうな謝罪と同時に押し入ってきた熱杭。一気に最奥まで貫かれ、目の前で火花が散ったような錯覚を覚える。 「ゔぁ……あ、あ、あっ」 「リク……リク、愛してる」 「あぁっ！　らぃうむ、さぁ……んぁああ！」 　息つく間もなく激しい抽挿が始まり、それに呼応するようにあがる矯声。 　何度も何度も穿たれ、その度に知ったばかりの快楽を擦られ、同時に前も扱かれてもはや苦痛と紙一重の快楽を与えられる。 　しかしそれすらもすべて快感へと変換され、頭の中はすでに真っ白だ。ただただひたすらに与えられる刺激に身を委ねることしかできない。 「んぁあっ、らい、る、さまっ……！　もう、ゔぁっ！」 「……っく！　リ、ク……！」 　無意識のうちに自らも腰を振り、より強い快楽を求めるリク。 　そんな痴態に煽られたのか、ライルの動きもまた激しくなる。 　肌を打つ音が部屋に響き渡り、二人の限界が近いことを知らせていた。 「あ、あっ！　だめ！　出っ──……」 「私も、もう……くっ」 　ビクビクと痙攣し絶頂を迎えるリクに続き、ライルもリクの中で果てる。 　ドクドクと脈打ちながら吐き出された熱い飛沫を中で感じ、再び達してしまうリク。 「はぁ、はぁ……んぅ、あつい……」 「リク……」 　まだ快感が体から抜けず、ピクピクと震わせる体をライルが引き寄せる。 　それだけでも中を擦られる感覚があり、大袈裟ななほど体がはねてしまう。 　それを知ってか知らずか、ライルは限界まで体を密着させ自分の白濁を塗りこむようにグッ、グッ、と腰を動かす。 「ふぁ、や、ライル、様……っ」 「リク、愛してる」 　もう無理だと抗議しようとしたが、こうも幸せそうに囁かれてしまっては、甘い痺れが包み込んで拒絶なんて考えられなくなる。 　いまだ荒い呼吸のまま見つめ合い、どちらからともなく口づけを交わす。 　終わらない快楽に身を委ねて、長い夜はふけていった。