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第13話
「正親は……皇子だったんだ?」
元石としては本当は「どこまで前の世界の記憶があるんだ?」と聞きたかった。の世界の記憶を持っていて、それを隠していることがバレてしまう可能性もある。
事実は確認したいものの、それは絶対、避けたかった。
「ああ、そんなに覚えている訳じゃないけどな」
言葉少なに語られる正親の言葉。
正親は前世では嘘をつくのはあまり得意ではなかったが、今世でもそれは変わっていないらしい。
「なら、言ってくれたら、良かったのに……」
と、元石も返す。
話を続けるか、それとも、終わらせるか。
元石は正親の反応を待った。
「いやいや、なかなかじゃないか? 前世では俺は皇子だったんだぜ、なんて。頭、おかしいどころか、俺なら若干キモいって思うね」
正親はもっともらしい理由を言い、コンビニで買ってきたツナとマヨネーズを和えたおにぎりの封を切り、齧る。
確かに、正親の言わんとしていることも分かるのだが、本当にそれだけだろうか。
元石は相槌も打たずに正親の次の言葉を待った。
「ふぅ、確かに前の世界ではそうだったかも知れないけど、今の世界では皇子でも何でもないんだから」
「皇子、ではない……」
先程、見た夢がもし、前世のことだったとすると、正親は確かに変わってしまったのかも知れない。
前世の正親ならまず言わなかった。
元石はそんな気がするのだ。
「そう。今の世界では俺は皇子ではないし、国の為に死ぬこともしなくて良い。それは慎にも言える」
「僕にも……」
「昨日も言ったけど、前の世界で慎が好きだから今の慎が好きな訳じゃない。今の慎も好きなんだ」
正親は照れ隠しのように、おにぎりを頬張る。話は今日のこれからの予定に移っていく。元石はどうも腑に落ちない感じで、自身の朝食の目玉焼きが載った調理パンを齧り出した。
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