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第133話
草原にぽつりとある木立は、ワシュリ領国の勃興の祖が陸 に新天地を求める以前の昔から隊商の憩いの場だった。
そこここで光の粒子が弾ける現在 、木立は愛のいとなみを祝福するような華やぎに包まれる。
野ウサギが立ち木の陰からひょこっと現れて、おじゃましました、と言いたげに跳ね去った。
かたやイスキアは、断崖絶壁を登りつめたすえ開かずの間 に入ることを許された思いで下穿きを脱がせにかかった。とはいえ指が小刻みに震えるせいで前紐をほどきそこねるうえ、
「ジャンケンが却下なら実力行使でいく」
くすぐり攻撃を仕かけてきて形勢逆転を目論む。くちづけでいなしておいて下穿きをずり下ろした。馬車から降りて伸びをするように、ぷるんとまろび出るさまは愛らしくも官能的な眺めだ。
どうどうと自分をなだめて、包皮をゆっくり剝き下ろす。可憐な色合い、溌溂とした勃ちっぷり、ほのかに香る麝香 系のそれ。三拍子そろった逸品とあって、早速むしゃぶりつきたくなるのを堪えるのがひと苦労だ。
「見るな、見るの禁止、見ちゃダメ!」
陰茎にかぶさってきた両手を万歳する形に縫い留めた。そしてイスキアは股ぐら同士がぴたりと合わさるよう、また押しつぶしてしまわぬよう加減しながら、のしかかった。
初々しい反応のいちいちが、むっつりスケベこと童貞三十路男を煽り放題に煽り、イチモツが早、下穿きを突き破る勢いでいきり立つ。花茎と、自身を隔てるものは布切れ一枚のみ、という焦れったくも興趣に富んだ恰好でゆるゆると腰を揺らめかす。
「ひゃ、ん……っ!」
きゅっと眉根が寄り、あわてて躰を離した。
「調子に乗って乱暴にしたか、すまぬ」
「じゃ、なくて、あのさ……」
言いよどむ様子に不安をかき立てられる間にも、下穿きの、その前面が湿り気を帯びていく。イスキアのものではないということは、つまり──。
「待つのだ、しばし待て」
あたふたと〝皿〟に水をかけた。試み程度に律動を刻むにつれて花穂 が蜜をにじませ、それが、こちらの下穿きにじんわりと染みた。
そう努めて冷静に分析するはしから、のぼせる予感にくらくらする。いわゆる前戯の段階で水分を補給する必要に迫られるありさまでは、ひとつに結ばれおおせるころには〝皿〟は煮崩れた堅焼きパンさながらの様相を呈しているかもしれない。などと危惧するほどだ。
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