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第134話

 ともあれ愛を交わしているときには、ふて腐れてブツブツ言うのさえ麗しい音楽に聴こえる。 「おれ、普段はいやらしい子じゃないんだからな。恥ずかしい、みっともない」 「みっともないとは見解の相違である。よがる姿は、すこぶるつきに美しいのだ」    イスキアは語勢を強めながらハルトを抱き起こし、膝の上に載せた。強力な磁石が内蔵されているように、開かせるなり閉じる両の足の間に腕をこじ入れる。 「丸見えじゃんか、やだってば」  くりくりと乳首を揉みつぶすと、連動して穂先が露を結ぶ。  ──イスキアさまは幼少のみぎりより探究心が旺盛で研究熱心でございました──侍従長のメイヤー談。  とりわけ性的な分野において、勤勉さが発揮されるのは男の(さが)。先ほど性感帯のひとつだと明らかになった耳たぶから首筋にかけての線を舌でたどり、 「こちょ、こちょばゆいって……!」  ガムシャラに丸まろうとするのを、ひとしごきすることで制すると甘い吐息がこぼれた。ふむふむ、では、この合わせ技は。すっ、と脊梁を撫で下ろしながら、 「わたしを幸せにすると思って啼くがよい」  わざと低めた声で囁くと花茎がぴくりと反る。悦に入って鈴口をつつくと、 「先っちょ、いじるな。じんじんする」  後ろ手に押しやられて、それでいて栓がゆるんだ蛇口さながらだ。後から後から蜜がしみ出し、糸を引いて和毛(にこげ)を潤す。  眼福、いや悩殺ものの光景だ。いちだんと陽根がそそり立ち、もろとも締めつけられてイスキアは呻いた。自分史上最大級の勃ちぐあい、といっても過言ではない。 「ん、んん……一方的なの、あくどい。おれもイスキアのさわる、べろんと出して……」 「しー、いい子だ。今日のところは、おとなしく可愛がられておきなさい」  耳の下のくぼみをねぶった瞬間、乳首が指の腹をこりこりと押し返してきた。愛技に爪繰る動きを追加すると、花茎をくるんだ手がべたついた。  イスキアはうなじへの接吻で嫌々するのをなだめ、こちらを向かせたうえで妖しく濡れ光る指をしゃぶった。攻守、所を代えるなど真っ平御免。愛しい者を慈しみたおすのが房事の醍醐味なのだ。 「うん、もう! おれもするってば!」  股間をまさぐられて、くびれを引っかいて返す。他人を吐精へと導くのは、もちろん生まれて初めてのこと。自瀆(じとく)とはいささか勝手が異なっても男同士とあって、あやし方のツボは心得ている。  早速、はち切れそうになっている花茎を握りなおして本格的にしごきはじめた。裏の筋に沿って蜜を塗り広げるにしたがって、すべりがよくなり、指づかいに加速がつく。ちっぽけな孔のぐるりが白っぽく泡立つ。

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