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第138話

「くっ、ん……ぅ、ん……っ!」 「()の子に特有のとやらが、ふぐりの真裏あたりに在るという話だが……」    イスキアは例の春本から得た知識に基づいて探索をつづけた。直接、(なか)を映すことができる鏡があれば即座に見つけだせるだろうに、指先の感覚のみが頼りとは、もどかしい。      と、言いたいところだが断じてそんなことはない。愛しい者の躰を隈なくいじりたおす。これぞ許婚冥利に尽きる愉しみではないか。 「ふっ、う、あぁ……」    スモモのように艶々しいお尻が、ぷりぷりと揺れるさまが水鏡に映り込む。だんだん異物感が薄れてきたとはいえ、媚肉のあわいをくじられるのは、やはりそれなりの苦痛を伴うもの。指が行きつ戻りつするにしたがって襞が軋めき、それでいて鈍痛の底に未知の何かがひそんでいて、その何かが目覚める気配が感じられた。  選ばれしものが(おとな)うたときに限って封印が解かれる、という呪文がかけられていたように。  今、まさに時が至れり。 「うむ、ぽっちりと膨らんでいるここが魅惑の突起であるな」 「やっ……何……っ!?」  くりり、と押されて地面に突っ伏す。もういちど同じ箇所をすり立てられると、跳ね起きたついでに四つん這いの形になる。  糸で操られているような動きを演じたなかで、ハルトは不思議な光景を目の当たりにした。さわっても、さわられてもいないのに花茎がまたみなぎりはじめている。魂消たことに、ぐんぐんという勢いで。  こっそり透明な滑車が結わえつけられて吊り上げられている……なんてことが、あるのかしらん? 「おかしいよ、変だよ。おれの……チンポ、聞き分けがなくて反抗期かも」 「反抗期どころか素直でたいへん喜ばしい」  核をこね回されたせつな、内壁全体に妖しいさざ波が走った。 「つまり、ここの感度が抜群であることを示しているのだ。性生活の充実は夫夫(ふうふ)円満の秘訣と聞く。わたしたちは肉体の相性もばっちりであり、めでたいことこのうえない」  そう訳知り顔で説明するイスキア自身、感動に打ち震えていた。想い人がいる、いないは別として子づくりの方法を実地で学ぶのは男のたしなみ、人生経験のひとつ。一夜妻と同衾(どうきん)しては、とメイヤーがほのめかしても一笑に付してきた甲斐があった。  お互い清らかなまま初床(ういどこ)に臨むのは、至純の愛に裏打ちされている証しに思えるのだ。 「補足するとだな、ハルト。強からず弱からず揉みしだくと男子の象徴が奮い立ち、子種の動きは活発になって、内はわたしをもてなすべく()れると、いいことずくめなのだ」 「うう、むっつりスケベ。仏頂面で本性を隠してたな!」  咄嗟に後ろをすぼめて指を押し返そうとするのとは裏腹、内奥は新たな刺激を求めて蠢く。現に(さね)を狙い撃ちされると、もっと、とせがむように指をぱくつく。

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