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22.二度目の行為

 エレベーターから降りてフェリアの部屋に入るとすぐにカイはフェリアを抱き締めた。  この一週間は長かった。  フェリアと体を重ねたが、フェリアが生理になってしまったので中断された先週末。ヴァルナの乱入もあったが、フェリアと気持ちを確かめ合って、カイは非常に幸せに過ごした。  それでも、フェリアをもっと抱きたいという欲があったのは、カイが若くて健康な男性だからどうしようもない。  生理中のフェリアに無理をさせるつもりは全くなかったので、カイは寮の部屋に戻ってからバスルームで自分で処理をした。  性欲が強い方ではなく、どちらかといえばどうでもいいと思っていたので、カイはフェリアのことを思い出すたびに反応する体に戸惑っていた。自分は性欲が強い方ではないと思い込んでいただけで、実は欲望は間違いなくあったのだと実感させられた。  毎日のようにフェリアを思って夜にはバスルームで抜いて、そのたびに虚しい気持ちになっていたのが、今日は実際のフェリアと触れ合える。それだけで股間が反応してカイは車の中でも平静でいるのが大変だった。  頬に手を添えると、フェリアの方からキスをしてくれる。舌を絡める深いキスをしようと角度を変えると、フェリアに胸を押された。 「先に、何か食べよう。それにシャワーと歯磨き」 「フェリア様、お腹が空いてるんですか?」 「まぁ、それなりに」 「俺はフェリア様を食べたくて仕方がないんです」  正直に白状してフェリアにお願いすれば、苦笑してフェリアがカイの手を握る。  骨張って女性のような柔らかさはない手だが、カイはフェリアの手が好きだった。 「シャワーと歯磨きは譲れない。食事は後でもいい」 「分かりました」  バスルームに行くと、見たことのないパジャマが置いてあった。さらさらとした光沢のある表面を見ていると、フェリアがにこりと微笑む。 「多分、サイズ合うと思う。カイのパジャマだよ。俺が愛用してるのと同じ。絹ですごく着心地がいいんだ」 「俺のパジャマ……」  フェリアの生活の中にカイの存在が入って行く。  パジャマ一つだがそれは大きな変化だった。  シャワーを浴びて歯磨きをして、パジャマを着てベッドルームに行く。  パジャマのサイズはぴったりだったし、フェリアの言う通りさらさらとしてとても着心地がよかった。空調が完備されたこのマンションならば、このパジャマで一年中過ごせるだろう。  カイのパジャマが淡いグリーンで、フェリアのパジャマが淡いピンクだった。  ベッドにフェリアを押し倒すと、フェリアがパジャマのボタンを外して脱いで床に落としていく。カイももどかしくパジャマを脱いで下着も脱いでしまう。  シャワーを浴びている時点でもう勃ち上がっていた中心は、透明な雫を垂らし始めていた。 「俺がする? カイがする?」 「俺にさせてください」  噛み付くようにキスをしても、フェリアは笑ってそれを受け止める。舌を絡めて、首筋を舐めて、乳首に触れると、ひくりとフェリアの内腿が痙攣する。念入りに乳首を舐めて、もう片方も舐めて、細い腰に手を当てると、フェリアがカイに手を伸ばす。  抱き締められて、カイはフェリアの腕が背中に回っている状態でフェリアの女性器に触れた。そこは滑りを帯びて濡れている。 「ここ、ちゃんと濡れてますね」 「それだけで入りそう?」 「どうだろう……痛い思いはさせたくないので、ローション使っていいですか?」 「ん、いいよ」  まだ未熟なそこに触れて、手の平に垂らして温めたローションを塗り込めていくと、フェリアの中心が芯を持っているような気がして、カイはふとそこに目を留めた。  フェリアの中心はカイのものほどではないが、小ぶりな成人男性のものくらいの大きさはあった。  積極的に見たいわけではないが、男性のトイレというのは小便器が並んでいて、そこで男性器を出して排尿する形になる。どうしても見えてしまう場合もあるし、そんなに出さなくても排尿できるだろうというくらいボロンと男性器を出して排尿する男性もいる。  そういう環境で育っていれば、それなりに男性器を目にする場面もカイにはあるのだ。  フェリアは多目的トイレを使っていると聞いていたので、そういうことはなかったのだろう。 「フェリア様、こっち、触られるの嫌ですか?」 「嫌じゃないけど……役に立たないぞ?」 「嫌じゃないなら、触ってもいいですか?」 「いいよ」  自認が男性ならば、そちらを使っての性行為を想像していたこともあるのではないだろうか。カイとの間ではそこを使うことはないのだが、ついているのだから触れないのも不自然な気がして、女性器にローションを塗り込めながら、カイはフェリアの中心に舌を這わせた。 「ひゃん!?」 「嫌でしたか?」 「う、ううん、ちょっと、びっくりしただけだ」  嫌ではないようなのでフェリアの中心を咥えてじゅぶじゅぶと口の中で舐めていくと、そこが僅かに芯を持つのが分かる。 「ひっ! あぁっ! カイ、なんか変。変だ……んぁっ!」  びくびくと太腿の内側を痙攣させるフェリアは快感を覚えているのだろう。白い肌が紅潮しているのが分かる。  フェリアは中心で達することはなかったが、舐められると気持ちいい様子だった。  ローションとフェリアの体液で濡れた指を引き抜いて、カイはコンドームを付けた中心をそこに押し当てる。一度入ったのだから、心配はしていなかった。  ゆっくりと腰を進めていくと、フェリアの中が締まってカイの中心を絡め取ろうとする。 「くっ……あっ!」 「カイ?」 「フェリア様、緩めて……出そう……」  我慢していたので入れただけで出てしまいそうなカイに、フェリアが息を吐いて一生懸命緩めようとしてくれているのだが、無意識でやっているのだろう、逆に内壁が蠢いて締め付けと緩めを繰り返して、カイは追い詰められる。 「出る! フェリア様、出ちゃう!」 「いいよ、カイ、出して。何度でも出していいから」  圧迫感と快感に艶っぽい声でフェリアが囁くのに、カイはもう限界だった。  入れただけで達してしまった屈辱に、コンドームを取り換えて、カイはもう一度挑む。  フェリアの中に中心を納めて、腰を動かすと、フェリアから甘い声が漏れる。 「あっ! カイ、すごいっ! おおきっ! あぁっ!」 「フェリア様、気持ちいいです。また出そう……っ!」 「いいよ、出して」  抱き合う時間は永遠のようで、カイは何度もフェリアの中で達した。  シャワーを浴び直して、髪も洗って、乾かしてからパジャマを着直して、フェリアとカイはキッチンに立つ。  フェリアは冷凍庫から鶏肉を取り出して、電子レンジで解凍して、レモンと塩コショウで味付けして、皮をパリパリになるまで焼いてくれた。その間にカイは冷凍庫の処理されたキノコでアヒージョを作って、冷蔵庫の野菜でサラダも作る。  冷凍庫のパンをトースターで焼いて、フェリアとカイはソファに座って少し遅くなった夕飯を食べ始めた。 「ベッド、狭くないか?」 「フェリア様とくっ付けるので、あれくらいがいいです」 「買い替えなくていい?」 「プリンセスとの思い出のあるベッドでしょう? 買い替える必要はないです」  カイのことだけ考えてベッドの買い替えを考えていたが、カイに指摘されてフェリアは気付いたようだ。 「そうだ。あのベッドはプリンセスに占領されては、何とか妙な体勢で布団に入って寝た思い出のベッドだった」  ぽつりと呟いたフェリアに、その光景が頭に浮かんでカイは笑みを浮かべる。  フェリアがどれだけプリンスとプリンセスを愛していたかをカイは知っていた。 「カイは落ち着いてるな」 「フェリア様の方が大人の余裕って感じです。俺は入れただけでイっちゃうし」  感心されたが、全然フェリアに勝てる気がしなくて、唇を尖らせると、フェリアがほの赤い唇を弧の形にする。 「食べ終わったら、リベンジするか?」 「フェリア様は平気ですか?」 「俺は頑丈だよ。もうちょっと荒っぽく扱われても構わない。カイは恐る恐る触ってる感じがする」 「そりゃそうですよ。俺にとっては大事にしたいひとなんだから」  アヒージョの油にパンを付けて、全部食べ終わってから、食器を食洗器に入れて、カイとフェリアは洗面所で歯を磨いた。  あれだけ抱き合ったのに、これからベッドに行ったらもう一度抱きあえることにカイは喜びと驚きを覚えていた。 「フェリア様、愛してます」 「俺もだよ。おいで、カイ?」  緩く両腕を広げられて、カイはフェリアを抱き締めた。

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