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第4話
「ご馳走様でした……」
「お礼だから」
男の車に乗りこみ家まで送ってくれるというこいつに甘えて送ってもらうことにした。
「なあそう言えばお前の名前聞いてなかったな、名前は?」
「あ、えっと二階堂琉生です」
「琉生か、俺は九条 紫恩 だ。よろしく」
どうせこれっきりなのに名前聞く必要なんてあるのか……?とは思ったけどまあいいか。そんなことは。
「なあ、琉生」
あ、いきなり呼び捨てなの?
「はい?」
「番号教えろ」
「ええと……それはちょっと……」
「あ?」殺されそうな目線にビビって渋々番号を教えた。
「お前何歳だ?ガキにしか見えないけど」
この男はなんでこんな失礼なんだ?まあ確かにガキだけどさ……
「24です」
「はあ?クソガキだな。俺と6つ違いか」
「30歳?!」
「見えないか?」
いや、いい意味で雰囲気的にもっと上なのかと思ってた。大人っぽいし金は持ってるしスーツだってどう見てもブランドだし車だってそうだ。
「また飯行こうぜ」
「あぁ、まあ……」
俺の会社まで押し掛けてくるし悪い奴だと思ったけど喋ってみると意外といい人だし断る理由もないよな……?そして家まで送ってくれた男に会釈をし1日は終えた。
〜〜♪♪
「んん……?ってもう7時半?!ヤバいヤバい」
8時の電車に乗らないと間に合わなくなるため俺は急いで支度する。支度が終わり急いで駅に向かってギリギリセーフ。駆け込み乗車だ。
「間に合ったあ……」つり革に手を置き電車に揺られながらスマホを見ると1件のメッセージ。あの男からだ。
その内容は『おはよう』たったこの一言。
面白すぎて電車の中でつい吹き出した。
すると周りからの痛い視線……死にたくなったよ。でも面白すぎない?友達同士でも中々なくないか?そんなことを思っているとあっという間に駅に着く。
駅からすぐの会社に行き、受付の女の子に挨拶。
ここの女の子がまたかわいんだよ。本当に。
挨拶を返されルンルン気分で出勤。
「琉生〜!」
「なんだよ」
朝から男の瑞希に抱きしめられたって嬉しくないんだけど……
「あの男、怖すぎなかった?もう生きてて安心した」
「意外といい人だったわ」
「それならよかった〜」
「ありがとう」
そう言えばあいつの名前九条紫恩って言ってたよな……?この名前どこかで聞いたことあるんだけど……瑞希に聞いたってわかんないだろうけど聞いてみることにした。
「え……?九条紫恩ってあの有名な『九条組』若頭じゃん……」
「え……?」
この時、俺はめちゃくちゃ絶望した。
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