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第5話

「お前そんな人に好かれちゃったの〜?可哀想……」 「俺だって知ってたら助けねーよ!」 そう俺の600円の相手は指定暴力団の中でも最強と言われているヤクザの若頭なのだ。こんな最悪なことあるんだろうか……怒らせたら俺は多分死ぬ…… 「殺されないように気をつけて……」 「あぁ!どうも!」フンと顔をしからめて今日の書類に目を向ける。 目を向けたと同時になる通知には『600円』の名前。俺はあいつの名前を『600円』にしてたのはいいがヤクザの若頭となったらやめよう……まず関わっちゃいけない人物じゃないか……?関わるのすらやめようかと悩むくらいだ。 でも俺に来るメッセージには、 「今、昼飯」「今から昼寝」「これから仕事」とかこんなメッセージばかりなのだ。本当にヤクザの若頭なのかすらも、もうわからない。 「仕事終わったら会おう」 ほらな?こんなメッセージばかり……って、え?会う?なんのために?断ったら断ったで殺されるか……?とりえず会うか。そう思い俺はその返事にオーケイとだけ送った。すると熊のスタンプ。 え……?ちょっと可愛くね?男に対して可愛いって俺もおかしくなったのか…… ダメだ。ヤクザの男だとわかってからギャップのせいで可愛く思えてしまう。そんなもんただのギャップのせいにしてとっとと仕事を済ませる。 ヤクザ男と会うまでまだまだ時間があるため瑞希を誘って一緒に社内を出た。そしたらまたあいつが居た。なんなんだ……本当に。 「琉生、迎えに来た」 「えっと待ち合わせ時間は19時のはずじゃ……?」 「早く仕事済ませてきた」 俺に会うために……?わざわざ? 「お前またこの茶髪男と一緒なのか?」そしてまたお決まりの目付きで瑞希を睨みつける。 なんでこんなに瑞希のことを敵視してるんだ?こいつは。 瑞希もなにかを察したのか俺の目を見て"なんで?”と訴えてくる。いや本当になんで?俺が目で帰る方向を指し頷きながら瑞希はそのまま帰っていった。 「あの男と随分仲がいいんだな?」 「そりゃ幼馴染ですから。小さい時から一緒にいるし」 「ふーん?じゃあお前の色んな顔を知ってるんだなあいつ」 ん……?よくわからないヤクザ男の発言に首を傾げることしかできなかった俺の目を見つめてニヤリと笑った後に「俺の方があいつよりお前の知らない顔を見ることになるから」なんて言われて俺はさらに首を傾げた。

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