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第6話
俺は今隣にいるこの男のさっきの発言の意味を理解しようと頑張っていた……が、もちろんその意味もわかることはなかった。
「着いた、降りろ」と言われ降りるとまあビックリ。そこは『九条組』の事務所だった。事務所っていうよりもうそこは屋敷みたいなところで九条組の下っ端らしき人達が俺達を出迎えてくれた。
「「「若!おかりなさい」」」
なんだろう、この威圧感は……すげえ睨まれてるし。
「あの若……そちらの方は?」
「この間、話しただろ?その男がこいつだよ」
「え?!そうだったんすか……お兄さん!若がお世話になりやした。感謝します」
「え……?ああ……はい」
もう無理、怖すぎて出ていきたい。ところで俺はなんでこんな所に連れてこられてるんだ?
「おい、親父」ヤクザ男の後ろをテクテクとついて行ったその先にはすげえ怖い顔をしたおっさんがいた。って親父?まさか組長ってやつ?怖すぎてチビりそうだわ。
「あ?」
「こいつ俺の救世主だからどこの誰にも手出させないようにしてくれ」
「そんなこと頼み込んできてお前はバカか?こいつは裏 側じゃねえだろ、闇金とかに手出さねえ限りなんもねえよバーカ」
「あ?今すぐ殺されてえのか?クソ親父」
「お前ごとにまだ負けねえよ」
えっと……なんだろう。この言い合いは。
ただの反抗期の息子とその父親にしか見えないんだけど……
「とにかく!こいつになんかあったらお前を殺す!」
「俺関係ねえだろうが!」
とりあえず俺の心配をしてくれいることはわかった……しかし、たかが600円だぞ?なのに俺にどうしてここまでするんだ?その疑問を俺はずっと考えまくっていた。
「琉生」
「は、はい!」
「紫恩さんって呼べ」
「あ、はい紫恩さん」
名前を呼ばれただけなのに満足そうなこの男は多分……相当俺がお気に入りっぽい。
「琉生」
「は、はい!」
「俺のせいでお前に危害が加わることがこの先出てくるかもしれん。だからお礼をしてこのまま切ろうと思ったんだがそれは無理だ!我慢してくれ!」
え……?この人シラっと怖いこと言ってんのわかんないの?我慢してくれってなに?今、事務所 にいるだけでも怖いのに?それは無理だ!じゃねえし……
俺はこの男を助けてしまった自分を今すぐ殴りたい……そう思った1日だった。
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