9 / 104
第9話
食事も終わり、車に乗り込む。
多分俺だけなんだろうけど空気が気まずい……
「お前、俺に抱かれてみるか?」
「はい……?な、なに言ってるんですか……?」
え、本当にこの男は急になに言ってんの?
ハンバーグ屋の駐車場でこんなこと言われてもムードもなくない?というか俺が抱かれる側なの?
「だから俺に抱かれてみろって言ってるんだが?」
「いやいや!ちょっと待ってくださいよ!なんで俺が抱かれる方前提なんですか?え?俺、抱かれる側?ムリムリ!」
「は?どう考えても俺は抱く側だろ」
「いや俺だって抱いたことしかないですから!」
「へえ?それで?お前上手いの?セックス」
そんなこと知らねーわ!ってツッコミたかったけど今反発したら襲われそうな気しかしない。だから「わかりません……」と小さい声で言ったらニヤリと笑うこの男。もうまじでなんなの?600円分助けただけなのにまじなんなの……?
「まあ今日は前戯だけで許してやるか」
「は……?」
わけのわからないことを言い出したかと思えばいきなり車を発進させてどこかへ向かっている。
「どこに……?」
「家とホテルどっちがいいんだ?」
「えっと……?紫恩さん?失礼ですけどおかしくなったんですか?」
「いや?全く。お前が決めないなら俺が決めよう……ホテルだ」
俺は唖然として言葉が全く出なかった。ホテルの看板が見えてきて俺はもう諦めていた。もうどうにでもなれって。ホテルに着いた途端、車から引き下ろされ俺の腕を引っ張りながらホテルへと連れ込んでいく。
《ああ……もうおわった……》
1番高い部屋のボタンを押しそのまま連行。
ホテルのドアを開けた途端、俺は壁に追い詰められキスをされる。
「……んんっ……あ、あのっ……んんっ」
喋りたいのに喋れないし、なんだろうこのキスの上手さは。ムカつく。舌を絡ませながらだんだんと俺のアソコに近づいていく。
「どうだ?男とのキスは。体は正直だな」
「死にそうなんでやめてもらってもいいですか……」
「なんで死にそうなんだ?」
「あなたのキスがうますぎて興奮しかしないんですよっ!!!!」
え……?俺なに言っちゃってんの?目の前の男も目を丸にしてビックリしてるっぽいんだけど?いや俺自身、こんな発言した自分にビビってる。
「なんだよ?俺のこと求めてるってわけか」
「いやさっきのは……あ、あのその……」
俺の発言も聞かずに男の手は俺のアソコに触れていた。
ただの気の迷いだ。大丈夫。俺は大丈夫か……?
ともだちにシェアしよう!