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第16話

「え……?なにを言ってるんですか?」 「俺に飼われろって言ってんだよ」 「飼われろとは……?」 「俺の恋人になれってことだ」 いやこの男が俺の事を好きなのは知っていた。でも付き合う……?それは無理だって……男とやっといて言うのもなんだけど付き合う?それは絶対無理。好きでもない男と付き合うなんて尚更無理だ。 「いや……それは無理です」 「あ?ここまでしといてか?俺に飼われるのは無理だ?お前に断る権利なんてどこにある?」 鋭い視線につい頷きたくなるけど俺は断った。何回も。 「俺は言ったよな?抱かれたら殺すと。俺以外に触られることすら気に入らねえ。なのになんだって?なに断ってんだ?」 「いやまず抱かれてないしその前に好きじゃない相手とは付き合えないですよ……」俺の言葉にフッと鼻で笑いながら言った。 「あーなんだそんなことか。お前はどうせ俺を好きになるから大丈夫だ。その辺は心配すんな」 なんでこんなに自信満々なんだ?こいつは。俺はまず女の子ですらちゃんと愛したことがないのに。 「今日からお前は俺のペットだ。いいな?頷かないなら今すぐ海へ捨てる」 本当にそんなことしちゃいそうだし渋々俺は頷いた。 そして俺は今日からこいつに『飼われる』ことになる。 満足そうな顔をしながらロープを解いていき俺の体をベタベタと触りながら「全て俺のもんだ」とかクサイ台詞を言いながら車を発進させる。家まで送り届けてくれその日は解散した。 ベッドにダイブし顔を枕に押し付けながらこの一日を振り返った。振り返れば振り返るほど最悪だと何度も思った。でもやっぱり思うことは体の相性は悪くないということ。あんなヤクザ誰が好き好むんだ?そんなことを思っているといつの間にか眠りについていた。 〜〜♪♪ 「俺の睡眠を邪魔するやつは誰だ……?」着信相手は瑞希だ。眠たい目を擦りながら電話に出る。 「……んん、何?お前夜中の2時だぞ」 「ああ、悪いな」ん?こいつなにかあったのか?いつもと明らかに違うテンションに問いかけた。 「どうした?」 「俺……男とやってしまった……」 「へ……?」そんな言葉に眠気も覚める。 「俺えええ!男と寝ちゃったんだよおおお!!」 電話越しでかなり焦っているのがわかる。 面白すぎてケラケラ笑ってると瑞希から衝撃な事を聞かされる。 「笑い事じゃないって……その相手、九条紫恩だぞ。言おうか迷ったけどこんなの黙っとけねえだろ!」 え?なんて……?あの男と寝た……?は……?

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