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第19話
昼休憩がおわりふと思い出したことがある。
瑞希の心配を俺はとっくに忘れていた。
「そう言えばお前、体大丈夫だったか?」
「変な薬飲まされちゃって死ぬかと思ったけど案外へっちゃら。でも俺……ケツでいけちゃうんだって思ったら男もありかも」
「何目覚めちゃってんだよ……」
「琉生も男に抱かれてみなよ」
「俺はもう処女じゃねーよ」
「はあ???!」オフィス中に瑞希の声が響く。瑞希のせいで皆に睨まれた俺達はとりあえず苦笑いで誤魔化しといた。
「え、琉生やってたの」
「あーまあな」
そう言えば俺は瑞希に話してなかったなと少し反省……する必要はなさそうだ。下ネタ大好きな瑞希にとっては大好物の話だろう。
「それでどうだった?」ニヤニヤと楽しそうだ。
「案外いけちゃうもんだよね」
「いや、わかる」
俺達はなんて会話をしてるんだろう?しかもまさかの幼馴染が穴でイッちゃえるタイプなんて誰がそんな話聞きたい?でもなぜか俺たちはその話で盛り上がった。
「久しぶりに飲まない?」
「あいつが来るんだよ……」
「俺も行く!」
「は……?」
殺されるぞって話をしてもきかない瑞希をしょうがなく家へ招き入れることにした。
「みんな〜あがり〜」部長の声は仕事終了の合図。
瑞希を連れて俺の家へ帰って行く。
「お邪魔しマース!」
あの男から連絡がくるまで俺たちは飲むことにした。その間に下ネタの話がツマミになって中々こない連絡のことなんてすっかり忘れていた。
"ガチャッ”
玄関のドアがあいた気がしたけどそこはスルー。
「お前達なにやってんだ?」
「「え……?お、おかえりなさい」」
お互い咄嗟に出てきた言葉はおかえりなさいだった。ここ俺ん家なのに。
「おい、琉生」男の鋭い視線。
「は、はい……」
「なんでこいつがいるんだ?」
「久しぶりに飲もうぜ!ってなって……」
「ほう、男二人で下ネタで盛りあがって随分楽しそうだな?」
俺と瑞希の視線が合う。アハハ〜なんて苦笑いして乗り切ろうと思ったけどそんなうまくいくこともなく……
「琉生こいつに話してないのか?」
「な、なにがでしょう……?」
「お前は俺に飼われてるだろ?なあ、琉生」
「えっと……それは……」
どう意味?って訴えてくる瑞希の目に嘘もつけず俺は一応?カップルだってことを話した。
「はあ?!冗談でしょ?!」と驚く瑞希に空気読めと言わんばかりの目つきの男。
「か、帰ります」と言う瑞希を送ろうとすると俺も行くとか言い出すこの男と気まずい雰囲気のまま瑞希を家まで送った。瑞希の家までの道のりはただただ気まずさで地獄だったのだけは覚えている。
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