21 / 104
第21話
「……ありがとうございます」
「あ?ああ。お前俺と会うの当分控えろ」
「は……?」
いきなりこんなこと言ってくるこの男に腹が立った。勝手に飼ってやるとか言っといて、勝手に俺を振り回しといてなんだこいつ。そんなこと思っていると車のライトが俺達を照らす。
"ププーッ”と大きなクラクションを鳴らしその車から出てきたのはたこ焼きさんだった。
「よ!琉生坊」
「どうも」
「おせーぞ、ハゲ」
「すんません、若」
どうやら迎えに来たらしい。挨拶もせず薬男と一緒に乗り込んだかと思えば窓を開ける。
「いいな?俺と会うのは当分控えろ。連絡も俺がするまでしてくんじゃねえぞ。安心しろお前のことは捨てん。夜道は気をつけろじゃあな」
そう言い残して車を走らせた。
「ふ、バッカじゃねえの」そう呟いてみるも俺は何かが納得いかなかった。
あれから1ヶ月が経ち、未だ音沙汰なし。
なんでかわからないけど俺は気持ちを晴らすため毎日夜の街へ出ていった。飲みたくない酒を飲み別に行きたくもない合コンに行ってみたりと散々な毎日を過ごしていた。もちろん仕事には行ってはいるけど何かが満たされない毎日を酒で埋めていた。
この日は、合コン。可愛い子が集まるからと言われて来てみたが本当に可愛い子しかいなかった。その中でも一際可愛いタイプの女の子。喋りかけるタイミングを伺っていると向こうから話しかけてきた。
「キミ確か琉生くんだっけ?私めっちゃタイプだと思ったの。どう?2人で抜け出さない?」
俺はこの誘いにすぐ乗った。
まあこうなったら行く所はただ1つ。ラブホだ。
部屋に入った途端、ベッドに押し倒す。
キスをしだんだんと舌を絡ませていく。
お互いいい雰囲気になった所でブラのホックを外し揉みほぐす。乳首を弄った所でパンツの中に手を入れ、女の好きな場所を探り当てて攻めまくる。女も俺のアソコを弄り倒す。
たが……、《ん……?ヤバい。勃たない。》
そう俺はアソコが勃たなくなっていた。今まで勃っていたのにも関わらずだ。俺はこの時、確信した。女じゃ勃たなくなっていると。
でもさすがにこの状況で辞めるわけにもいかず女をイかせてその場を収めた。
その日は朝まで共にして連絡先の交換をし、会社へ直行した。
「琉生〜おはよう。なにその真っ黒なオーラは?」
「なあ瑞希。ヤバいどうしよう。俺……女じゃ勃たなくなっちゃった」
「え?本気で言ってんの?!」
「本気だよ」
多分、この日からだ。俺があの男を意識しだしたのは……
ともだちにシェアしよう!