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第22話

ヤクザ男と連絡が取れなくなり半年が経とうとしていた。ここまで音沙汰だと俺ももうどうでもよくなってきてしまう。半年も経てば新入社員が入ってくる季節になった。 「は〜いみんな集合!今日から同じ会社で働くことになった木南(きみなみ)悠真(ゆうま)くんでーす。二階堂くん!キミが教えてあげてくれ」 「お、俺?あ、まあ……わかりました」 部長に言われ俺は今日から新入社員の教育係をすることになった。 「木南です。よろしくお願いします」 「ああ、よろしくな〜」 イケメンでまだまだ若い木南は女子社員達に人気者の存在となっていた。 「先輩、ここはどうしたらいいですか」 「お〜、ここはな〜こうして〜こうするんだ!」 「わかるわけないですよ……本当に教え方、下手くそですね」 「しょうがないだろ!初めての教育係なんだから!気に入らないなら他の人に教えてもらえよ!」 「いえ、面白いのでこのままで」 見ての通り俺は毎日こいつにいじられている。 でもなんか憎めないこいつが可愛いって言うのは内緒にしておこう。 「ちょっと〜琉生〜」うるさいヤツが1匹。 「そんな新入社員ばっか構わず俺のこと構ってよ!」お決まりの甘えん坊、瑞希さんのご登場だ。 「海原先輩、邪魔しないでもらえます?」 「お前なあ!俺に対してなんでそんな感じなの?琉生は俺のだっての!俺のが付き合いなげえし!」 「はあ……まあ付き合いが長い短いなんて関係ないですけどね」 「コンニャロ〜〜」 いつもこんな喧嘩ばかりをしているこいつらのおかげで今はあの男のことを思い出すこともなく平和に過ごしていた。 「そこまで言うんなら今日は飲みで勝負だ!」 「望むところですね」 「おいおい……どんな勝負だよ……」 「それはもちろんどっちが酒が強いか勝負!」 こんなバカな勝負のために俺は付き合わされる。 「よ〜し!みんな上がりだ〜」部長の声と共に今日の仕事は終了……ってあれ?まだ木南が机に向かってなにかをしていた。 「お前何してんの?もう上がりだぞ」 「なんかよくわからない先輩に仕事押し付けられました」 「はあ……貸せ。俺も手伝ってやるから」 「でも……「いいから今日飲みに行くんだろ?行こうぜ」 「……ありがとうございます」 そして俺達は1時間残業し、瑞希との待ち時間に間に合わなくなるため木南と二人で待ち合わせの居酒屋まで直行した。

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