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第28話
「カルビ5人前!タン5人前!ハラミ5人前!それから……ホルモンと……」
「少し遠慮を……「しません」「しないな」
機嫌取りに連れてきたのはいいものの遠慮なんか全くなしなこの2人と有名な焼肉屋に来ている。
「お姉さん!生〜!」
「俺もください。先輩は?」
「あーもう!じゃあ俺も!!」
財布が心配ではあるがもうこの際頼んでしまえ!って思った俺は注文しまくった。ワイワイと楽しんでいる途中に着信が入る。ヤクザ男だ。あいつはいつもタイミングがいい時にかけてくる。
「もしもし」
「お前今何してる?」
「焼肉食べてる瑞希達と」
「あの男もか?」
「木南のこと?いるよー」
「俺も今から行く位置情報送ってくれ。そいつらに帰ったら殺すって伝えてくれ」
え?いつもなら絶対空気を読めとか言うくせに今日は言わないんだな……?
変な予感がする気もするけど瑞希達も殺すと言われたら残るしかなくなりあいつが来るのを待った。
「邪魔して悪いな」そう言ってスーツ姿で現れた男は俺の隣にさり気なく座る。女性店員は明らかにこいつに虜になっているのにも関わらず来て早々、俺の肩に手を回した。
「今日は俺が出そう」
「「「は?!」」」
瑞希達の分まで出すなんてなんなんだ?なにか企んでいるのか?え?俺なんかした?そんな男の発言に俺たち3人は目を合わせる。
「今日はお前ら2人に話があってな」
何の話?と言わんばかりに俺に目で合図を送る瑞希達。俺も知らないんだけど……
「いつも俺の恋人を大事にしてくれて感謝する。日頃の感謝を込めて今日は俺に出させてくれないか?」
こんな発言を聞いて誰が驚かずにありがとうなんて言えるんだ?
「え?急にどうしたんですか?」
「お前がこの間言ってただろう?セックスしてる時……っ「あー!!!っと?うんそれで?俺がなんて?」
「だから俺の大事な人たちだから悪く言わないでほしいってお前が言ったんだろ?だから今日は俺がだすって言ってんだよ」
この男は本当に何を言い出すかと思いきや……
まあでも俺の大事な2人 をそういう風に言ってくれるのは正直嬉しい。なんだろう。なんか照れくさい。
「琉生?!お前ってやつは……やっぱり大好……き……「今日は出すって言っただけでこいつに気安くそんな事を言っていいとは言ってない」
「あ、はいすみません」
「とくにそこの木南 。わかったな?こいつは俺の恋人だ。さっさと諦めろ。お前に入る隙はない」
「え……はあ……はい」
なんだろう、俺ちょっと幸せかも。
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