30 / 104

第30話

"ピピピ――――――。” 目覚ましと共に目が覚める。 そう、今日はあの男と遊園地デートの日なのだ。 別に気合を入れているわけじゃない。ただ身だしなみは大事なわけで……いつもより時間をかけて髪の毛をセットしていく。もう1回言うけど張り切ってるわけではない。 《なんだかんだ初デートだな》 そう、俺たちは一応カップルらしいデートというデートは初めてでなぜか俺はめちゃくちゃと言っていいほど緊張していた。私服だって初めて見るし…… "ピンポーン――――――。” 家のベルが鳴ったと同時に鍵を開ける音がする。 「迎えに来たぞ」 男に目をやった途端、俺はニヤケそうになったのをおさえた。だって……新鮮すぎた男の服装は少しドキッとしてしまったのを覚えている。 「行こうか」 そして俺達は遊園地に向かうため男の車に乗り込む。車に乗った途端、設定されてあった目的地までの道のり。本当に準備がいい。 そしてたわいもない会話をしながらあっという間に遊園地に到着。駐車場はほぼ満車。ようこそと書かれてある看板を通り抜け中へ入る。周りを見渡せばカップルか家族連れしかいないこの遊園地に男二人。なんだか恥ずかしい。そんな俺の気持ちも知らず先々と進んでいくこの男の背中を追いかける。 「うじゃうじゃいるな」 「そりゃ今日、日曜だし……ここ人気の遊園地でしょ」 「こんなとこ初めてだ」 「初めて?今まで来たことないの?」 「恋人を連れてきたことは1度もない」 「へ、へえ?」 準備はいいし、こんなとこ連れてくるなんて慣れてるんだと思ってたけど俺が初めてなのか…… 「ジェットコースター乗ろう」 「は?いきなり?」 「ああ」 子供みたいなキラキラした目でルンルンと駆け足でジェットコースター乗り場まで向かっていく男に笑みがこぼれる。 「うげ……並びすぎだろ」 看板には二時間待ちと書かれてある。こんなの待つのかと思っていたら俺の手を引っ張って隣のレーンへ入っていく。 「おい順番は守れよ」 「俺らはこっちだ」 そう言って係員に見せたチケットはプレミアムチケット。このチケットがあると優先されるというもの。こんなチケットまで用意してどんだけ楽しみにしていたんだ……この遊園地は人気なためプレミアムチケットを買うのにはプラス二万円くらいかかる。そのチケットをわざわざ買って用意しているということは……まあそういうことだろう。 そんなチケット買う人なんて中々居ないため俺たちはすぐに順番が回ってきた。そしてジェットコースターの出発の合図が流れ進んでいくジェットコースターに目を瞑った。

ともだちにシェアしよう!