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第44話

俺が好きかもって言った瞬間からの空気がなぜか気まずい。なんか聞いてくるわけでもなくただ俺の目をジーッと見つめるだけ。なんなんだ……?俺なんか変なこと言っちゃった感じ? 「あの……さっきから何でしょう?」 「別に」 「……???」 なんかモヤモヤする。服を着て自分の部屋へお互い戻っていく。なんだよ一緒に寝よとかないのかよ……って俺が部屋別々にしてくれって頼んだんだった。ベッドで横になって天井を見つめながら考えた。俺が好きかもって言ってしまったのが迷惑だったんだろうか?俺に本当に好きになられちゃ困るんだろうか?そんな事ばかりが頭によぎる。こんなことを考えていてもこのモヤモヤが晴れるわけでもないし寝ることにした。だが……寝れるはずがない。モヤモヤしすぎて眠れない。明日から会社復帰するのに。恋ってこんなに面倒臭いものなのか……?俺は諦めた。1人で寝ることを。紫恩さんの部屋へ向かってコンコンとドアを鳴らす。 「はい」 「あの……琉生ですけど……入ってもいいでしょうか……」 「入れよ」 「失礼します……」 なんだよ?みたいな目で見つめてくる紫恩さんと目が合わせれない。 「なんの用だよ」 「いやその……一緒に寝たいです」 俺の言葉にこれでもかってくらいの大きなため息をつく。頭を抱えながら。 「……かわいすぎんだよ」 「え?」 あ、なんかよかった。可愛いって思ってもらえて。俺の頬にキスをして抱きしめてくる。その瞬間すぐ眠りについた。 「送迎なくても自分の足で行けるって言ってるじゃん」 「ダメだ。なら会社を辞めてもらうぞ」 この喧嘩の理由は……まあ聞いての通りの喧嘩だ。わざわざ送迎付きなんて会社にも悪いし自分の足で行くと言ったらやめろなんて言ってくるし。昨日まで仲良く同じベッドで寝てたのに朝起きたらバチバチの喧嘩だし朝からテンション下がりまくりだ。その喧嘩を見ている部下達は『そこをなんとか』って永遠と頭下げてくるし。渋々OKした。そして久しぶりの会社へ向かうため運転手さんに挨拶をし車に乗った。 「会社復帰おめでとうございます」 「ありがとうございます」 運転手さんは見た目から優しさが溢れているようなおじさん。いつも俺をニコニコと迎えてくれる。たこ焼きさんと紫恩さんみたいに荒い運転しないし、この人は安全第一!みたいな人。 「琉生様。着きました。もし会社の方たちと久しぶりに飲みたいとかなら遠慮なく行ってきてくださいね。お気を付けていってらっしゃいませ」 俺、会社復帰おめでとう。

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