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第45話

「復帰しました。今日からまたよろしくお願いします」 「琉生〜!」 「先輩〜!」 瑞希と木南が俺に抱きついてくる。またこいつらと仕事できるのは嬉しい。本当に周りの人に恵まれている。 「先輩……聞いてください。僕明日から営業部に移されることになっちゃって……」 「え?そうなの?」 木南は入社当初から仕事はできるし口はうまいしで俺らがいる人事部から営業部に移動させられるらしい。木南がいなくなるのは少し寂しい。まあ同じ会社だけど俺はまた3人での仕事を楽しみにしていたのに。まあしょうがないけど…… 「昼は3人で食おうな」 「約束ですよ!」 「もちろん」 他の社員の人達にも挨拶に回って一段落ついたところで仕事を開始する。仕事を開始した瞬間にスマホの通知がなる。 《600円野郎:‎ ‎▷バカ運転手が飲みに行けとか言ってたみたいだが真っ直ぐに帰ってこいよ》 このメッセージを見た瞬間、俺はこれでもかというくらいのため息をついた。朝の喧嘩でもそうだが俺に自由はない。最初は我慢できる程度のものが入院してから束縛っていうものが酷くなったと最近になって強く感じる。多分、俺にまたあんな目を合わせたくないんだろう。だからなるべく自分の傍に置いておきたいのは理解している。正直……それがしんどいなんて思ってしまうことがある。連絡の頻度でも1時間ないだけですぐに電話をかけてくる。俺たちみたいな一般人が働く会社の当たり前を理解していないせいなのもあるけどやっぱりその時に感じるのは住む世界が違うということ。もちろんカップル同士なんて全て上手くいくなんてこれっぽっちも思ってないけど理解してあげなくちゃと思えば思うほどしんどくなってくるもんだ。 「琉生〜?復帰初日からなにそんな大きいため息ついてんの?」 「人を好きになるって難しんだなって」 「げっ……。琉生からそんな言葉初めて聞いた。気持ち悪!初めての恋があの人って言うのも大変だな。あ、悪口じゃないからな?」 「いや俺も住む世界がやっぱ違うなってすげえ思う。なんか勝手に同棲させられてるし」 「はー?!同棲だって?!」 あ、そうだ言ってなかったわ。相変わらず瑞希のデカい声のせいで周りの社員達に睨まれる始末。久しぶりの仕事だっていうのに勘弁してくれよ……休んでた分の仕事だって取り返さなくちゃいけないのに。 「お前相変わらずうるさいんだな」 「いや当たり前の反応じゃない?こりゃ昼に木南入れて会議だな」 「なんの会議だよ」 『恋に悩む琉生ちゃん会議☆』そう言って俺にウインクする瑞希の頭をハリセンで……叩きたかった。

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