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第46話

午前の仕事が終了し瑞希と木南と近くのハンバーガーショップで昼休憩をしている。昼間っからハンバーガー3つを頼む木南とは逆にジュースだけで済ませる瑞希。俺はもちろんハンバーガー1個。ちなみにここのバーガーはボリュームが笑えるくらい凄い。それなのにへっちゃらで平らげてしまう木南に開いた口が塞がらない。 「ほれで?へんぱいはどうひたいんでふか?」 「こら。食べてから喋れ」 注意するとむーっとした顔で俺を見てくる木南。 それにケラケラと笑っている瑞希。 本当に俺はどうしたいんだろうとバーガーを食べながら考えていた。 「束縛されるのが嫌だって話でしょ?」 「いや……嫌ってゆーかさ何でも限度ってもんがあると俺は思うんだよ」 「「同感」」 俺がわがまますぎるのか?なんて思っていたけど2人と同じ意見で少し安心した。木南の方をふと見ると口の周りはソースだらけ。何も言わずスっとティッシュで拭いた。 「でも先輩って誰に対しても距離近くないですか?」 「それは思うわ。こういうのがサラッと当たり前にできちゃう感じがね〜」 「いや本当そうなんですよ。俺が先輩の彼氏なら嫉妬しちゃいますもん」 「こういうのって?ティッシュで口拭いたりとか……?」 激しく首を縦に振る2人。俺はどちらかというと人とは距離を置いている方だと思っていた。友達だって瑞希と木南だけだし。 「入院する前だってさ〜女子社員が荷物運んでてそれを何も言わず後ろからスっと取ってようやくなんか話したかと思えば『俺が運んどくよ』ってやばいと思わない?しかも『ありがと』って言いながら頭ポンポンだよ?」 「激ヤバっすね〜。それが無自覚なところがまた……もうね……」 「え……?俺ヤバイの?」 「「ヤバイ」」 「でも束縛の理由は俺の距離が近いとかそんなことじゃないと思う。狙われちゃうかもしれないからだと思ってる」 「まあそれもあると思いますけど先輩の距離が近いって言うのも少なからず入ってると思いますよ。俺なら束縛しちゃうしあの人なら余計です」 うんうんと激しく頷く瑞希。どうやらこの日は木南も瑞希も考えてることが一緒で気が合うらしい。もし木南達の言うことが少なからず合ってるんだとしたら俺、向こうのこと傷つけてる事になっちゃわない?もしその理由で束縛してるんならなんで本人何も言ってこないんだ?隠すような性格でもないだろうに。もう本当に考えれば考えるほど難しい。 けど俺のせいで束縛させてしまってるんだとしても友達との楽しみを奪うのは間違ってるよ。

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