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第48話
「先輩それまじで言ってます?俺今から九条組乗り込んでやりましょうか?」
俺の話を聞いて木南は大激怒。瑞希は開いた口が塞がらないでいた。
「俺は……先輩の好きな人を悪くは言いたくはありません。でも泣かせるんなら話は別です」
「そうだそうだ!ヤクザだからって調子乗るな!」
この2人のおかげで気持ちがだいぶ楽になった気がする。そう思っていると瑞稀の家のチャイムが鳴った。
「琉生が来る前ピザ頼んだんだけどもう来たの?早くない?取ってくるね〜」
そう言ってピザを取りに行った瑞希の大声で俺達はビクリとなる。
「え、なに?」
「先輩はここに居てください」
「いや俺も行くって」
「ダメです!」
そう行って玄関の方へ向かっていった木南の声も聞こえてくる。内容は分からないもののなにか揉めている……?これは行くべきだ!と思った俺は玄関の方へ向かって行った。
「木南、瑞希、大丈……「おい、琉生」
そこには鬼のような顔をした紫恩さんがいた。
ヤバいと思った俺は窓から逃げようと窓の方へ走っていく。すると俺の後を追いかけるように家の中へ入ってくる。窓から身を乗り出そうとした瞬間、手を掴まれた。
(ああもうおわった。殺される。無理)
恐怖のあまりもう何を言っているかわからないけどとりあえず叫びまくっていた。『やめろ』とか『触るな』とか。すると木南が俺の腕を掴んでいる紫恩さんの手を掴んだ。
「その手を離してください」
「あ?お前に関係ないだろ」
「関係あります。僕は!先輩の好きな人のことを悪くは言いたくないです。だけど言わせて下さい。先輩の気持ちを考えたことはありますか?あなたは何をそんなに焦っているんですか?いなくなっちゃうのが怖いから?」
木南の言葉にだいぶ腹を立てたみたいで木南に殴りかかる。それを見てぶん殴ってやろうと思った瞬間、
"パチンっっっ――――”
痛々しい音がこの部屋に響いた。
「は……?」
「木南と琉生の分だよ」
いつもはビビりの瑞希が紫恩さんをぶった。しかも結構な勢いで。木南が殴られたことより瑞希が紫恩さんをぶったことの方に俺はビビった。これに更に怒りを抑えられなくなった紫恩さんは瑞希目掛けて一直線にグーパンを食らわそうとしている。俺はそれをタックルで止めた。全然吹き飛んでいかなかったけど。
「はあ……俺よりそいつらとるのか?」
「取るとか取らないとかじゃないよ暴力はダメだ。絶対に。家へ帰ろう。ね?紫恩さん」
『琉生』『先輩!』と止める2人にごめんと目で合図をし心配そうに見つめる2人を置いてその場を後にした。これ以上、2人に迷惑かけることなんて俺が許せないから。
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