51 / 104

〜海原瑞希と木南悠真〜

* * *ふたりが一緒にいた理由と気持ち* * * 「琉生幸せそうっちゃ幸せそうだけど大変そうっちゃ大変そうだよな」 「恋人がヤクザで幼馴染はバカですもんね」 「おいこら!」 退院祝いで元々、琉生にサプライズでパーティーを計画していた2人。だが琉生の状況を聞いて退院祝いどころじゃなくなってしまった。まあ実は……この2人、琉生が入院している間に2人で映画やらカラオケやら行くような仲になっていた。だから元々計画していた琉生の退院祝いパーティーを勿体ないという理由で2人で開催しだすバカ達だった……主役は琉生だというのに。 「なあ木南はさ〜琉生のことまだ好きなの?」 「んーまあ好きですよ」 「いいな琉生はこんなに思われてて。俺も誰かにめちゃくちゃ思われてみたい」 「……俺が思ってあげましょうか?」 「え?お前たらし?」 「いや割と一途ですよ」 悠真は瑞希と一緒にいるうちに『ほっとけない』なんて気持ちを抱いていた。でもやっぱり琉生と会う度にまだ気持ちは揺らいでしまうためこの気持ちがなんなのかを探っている途中だった。瑞希の笑顔を見る度に『可愛い』って思っているのは瑞希にはまだナイショの話らしい。 「琉生が抱かれる側なんて想像できないわ」 「いや先輩はどう見ても抱かれる側でしょ」 「俺も1回抱かれたことあるけどどんな感じだった忘れた〜」 「……え?抱かれたことあるんですか?誰に?」 「えー?全く知らない人。犯されたアハハ、そう言えばお前に言ってなかったっけ?琉生は知ってるよ〜案外俺ら抱かれる側のセンスあるんじゃね?って話してた」 悠真は何を思ったのかいきなり瑞希を押し倒した。 「じゃあ俺にも抱かれてみませんか?」 「は……?冗談だろ……?」 「いえ、本気ですよ」 悠真の行動に開いた口が塞がらなかった瑞希。だんだん悠真との距離が近くなる。 『ピンポーン』タイミングよく家のチャイムがなる。 「「?!」」 ビックリした瑞希は悠真を押し飛ばした。 「お、俺誰が来たか見てくる」 「……はい」 相当焦っている瑞希の顔を見てニヤニヤとしている悠真。 「はーい……って琉生?!どうしたんだよ」 「海原先輩どうした……って先輩?!」 このタイミングで泣いている琉生。とりあえず2人は琉生を家へ入れて事情を聞く。怒り爆発の悠真と開いた口が塞がらない瑞希。 (あれ……俺、心から幸せになってほしいなんて思っちゃってる?独占欲の塊の俺が……) 悠真の心の中は今、なにかが変わろうとしている。

ともだちにシェアしよう!