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第52話

考えて考えまくった結果……青藍グループに行くことを決めた俺。まあその理由は仕事をして気を紛らわそうと思ったから。 「……わかりました。ちなみにいつからですか?」 「明日♡」 「明日?!」 「そ!だから今から引越し準備!レッツゴー!」 うちの部長はたまにぶっ飛んだことを言い出す。とりあえずデスクを片付けながら瑞希に別れの挨拶。 「……明日から離れちゃうけどお前との仕事は楽しかった」 「俺ら親友だからな?!」 「瑞希〜!」 「琉生〜!」 2人で抱き合っていると他の社員達に『永遠の別れじゃないんだからアホなの?』なんて言われてしまった。そりゃ寂しいだろ。小さい頃からずっと一緒にいて今もこうして2人で働いてるのに。まあ瑞希が勝手についてきただけだけど。昼休憩に木南にも話したら『行かないで〜』とウルウルしていた。今の部はほとんどパソコンに向かって一日が終わるだけ。それに比べて青藍グループは人と話す機会しかない。だから余計なことを考えなくて済む。俺も守られてるばっかじゃなくて守れる人間にならなきゃ。 ◇◇◇◇◇ 「今日からお世話になります。海原瑞希です。よろしくお願いします」 俺は今日から青藍グループで働く。ハイスペックな人間しか入れないと言われている通り俺の挨拶にも何も返事はなし。拍手すらない。そんな雰囲気の中、後ろからでかい人が俺の方へ向かって歩いてくる。 「キミが海原くんか」 「あ、はい。よろしくお願いします」 「俺はここの代表をさせてもらってるよ。一之瀬(いちのせ) 蒼空(そら)だ。よろしく。さっそくだがこれから接待がある。ついてきてくれ」 「あ、はい」 来て早々、仕事へと向かわされる。何も教わってないのに俺は大丈夫か?そんな不安が俺を襲う。代表について行くとビルの前には……リ、リムジン……?俺と歳もそんな変わらないだろうにどんだけ金持ってるんだ?この人。そんなことを思いながら車内を汚さないようにと恐る恐る中へ入っていく。リムジンの中は当たり前に広くてテーブルやら冷蔵庫やら置いてあって開いた口が塞がらなかった。代表と会うのすら初めてで車内の雰囲気は最悪だ。 「今から会う人は相当手強いお偉いさんだ。その人の心を掴んで契約を掴み取ってくれ」 まるで営業じゃん俺……。代表が俺を見る目はまさに『期待してる!』って感じの目だった。そんな期待を寄せられても応えれるかなんてわからないのに。少し走って着いた場所は明らかな高級レストラン。ドクドクと心臓の音がうるさいけど契約をとって紫恩さんに似合う男に俺はなる!

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