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第64話
「おはようございます……」
あの件があって以来、社長と会うのは気まずすぎるけど頑張って会社へと来た俺を褒めてほしい。
「おはよう。琉生くん」
「る、る、琉生くん?!」
後ろからニヤニヤと俺の肩を叩く社長。二階堂くん呼びから琉生くん呼びに変わっていた。多分面白がってるんだろうけど……とりあえず気まずくならないようにしてくれている社長。
「琉生くんさ紫恩にこの仕事のこと話してないよね?」
「はい……内容は知らないです」
そう言うと大きなため息をつく社長。
「はあ……そりゃダメだ。俺が殺される」
「え?なんで?」
「会食の仕事だなんて知られてみ?怒り狂うって。ただでさえ頭いかれてるんだから」
言われたら確かにとも思ったけど今更、前の所へ戻れって?それはさすがに無理じゃね?何かを思い立ったかのようにいきなり大声を出す社長。
「あ!そうだ!俺の秘書になればいい!」
「はい?」
秘書になったところで会食の仕事は?人足りなくて困ってたんじゃ?首を傾げて返事を待った。
「俺の秘書!だから会食もあるのは仕方ないだろ?どう?」
どう?って言われても俺は別に拘りないし。紫恩さんにバレた時、怒られるのは社長だし?別にいい。なんでも。゛まあ……はい ゛と言う俺にニヤニヤとしながら近付いてくる。
「首 、丸見えだよ?琉生くん?」
顔は笑ってるけど目が全く笑っていない社長にビクビクして慌てて隠す。
(あいついつの間に……)
全く気付かなかった。付けられてることなんて。
「んーあいつが琉生くん好きな理由なんとなくわかるかも」
急にそんなことを言ってくる社長をジーっと見つめた。するといつの間にか俺の顔の前に社長の顔。びっくりした俺はついドンッと押してしまった。
「す、すみません……!でも社長がっ……!」
「こういうとこ。隙ありすぎ。気をつけな?」
なんかそれらしきことを瑞希達にも言われたような……?俺、なんかダメなこと気付かないうちにしてるのか?わからない。誰も教えてくれないのに。
「俺、抱かれる側だけど琉生くんなら抱いてもいいって思うもんね〜 あ、紫恩に絶対言っちゃダメだよ?息の根止められちゃうから〜アハハ〜」
面白がってるしてるんだろうけど……高笑いをしながら自分の室へと戻っていく社長にドン引きしながらその背中を一応?お辞儀して見送っといた。
俺マジで紫恩さんと出会ってから男に口説かれる率が高い。ヤバい……俺が殺されそう。自分が怖い。誰か助けてくれ。
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