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第65話
日曜日。今日は紫恩さんとデート。
同じ屋根の下にいるっていうのになぜか俺はもうかれこれ1時間ほど待たされている。
「ちょっと!紫恩さん何してるんですか?」
「ああ、悪い。うんこしてる」
うんこしてる……?いやまあ生理現象は仕方ない。出るもんだし。いやそれよりトイレに籠って30分。本当に出てるのか?便秘体質?なんなの?
「もう30分もトイレいますけど……」
「俺は長いんだ。少し待て。集中できないだろ?どっか行けよ」
ほんと出る前にムカつくな。この男。
イライラとしながらリビングの高級ソファーに座り寛いでいた。すると後ろから゛わあ!゛と、誰かの声。
「わっ!!だ、誰?」
後ろを振り向けば組長様。組長様?!なんで?
てかこんなことするタイプ?可愛すぎるぞ。
「あ、組長さん。なんでしょうか……?」
「ん?琉生くんの姿が見えて驚かしたくなった」
ごめんなさい……驚かしたくなったの意味が全く……アハハと苦笑いする俺に顔を近付ける。
さすがに組長様にされるのは怖い。怖すぎる。
「俺のことまだ怖いのか?恋人のお父様だぞ?
いい加減慣れてくれなきゃ俺泣くよ?」
頼む……頼むからそんな強面の顔面してそんなこと言わないでくれ。笑ってしまいそうになる。
「す、すみません……」
「で?今日はデートかい?いいねえ混ぜて?」
「はい……?」
「俺も!混ぜて!家族デイ!」
いやそれは気使うってさすがに。仲良くしてくれようとしてるのはめちゃくちゃ嬉しんだけど……まだ気は使う。組長様だし。だって組長様じゃん?そんなことを思っていると後ろから聞き覚えのある声。
「おいクソ親父。琉生に絡むな気持ち悪い」
「あ?黙れクソ息子。殺されてえか?」
「上等だ」
「お前にはまだまだ負ける気がしねえなあ〜」
このやり取り最初の頃にも見たぞ。
もうそんな子供みたいな喧嘩はいいから早く行こうよ……ウサギの触れ合い始まっちゃうんだけど。そう、俺はウサギの触れ合いを楽しみにしていた。象が1番好きだけど触れ合いとなっちゃ話が別だろ。
まだまだ続きそうなこの喧嘩を止めるべく紫恩さんの首根っこを掴む。
「あ?なんだよいてーな」
「ウサギの触れ合いに遅れるでしょうが!」
俺の言葉になぜかシーンとなる2人。
「「ウサギの触れ合い……?」」
そして2人して声が重なる。
え、俺なんか変なこと言った?
「おい、クソ息子聞いたか?」
「ああ、聞いたよクソ親父」
「お前の恋人可愛いな」
「ああ、可愛い」
え、なに2人で共感しちゃってんの?
なんか今めちゃくちゃ恥ずかしい。
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