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第70話

猫の親子達を俺たちの家族として迎え入れたところで……そろそろ本題に入ろう。 「で?あの名刺は?」 「俺の親友」 「は……?そんなんでよく騙せましたね。てか紫恩さんに親友なんて初耳ですけど……」 「言ってなかったからな」 「人の交友関係は知りたがるくせに?」 「知りたいなら教えてやるよ?」 どうやら三島一豊と言うのは紫恩さんの親友で動物業界の中では偉い人らしい。だからその名前を出せば動物業界の中では恐れられるそうであの時、咄嗟に名前を使ったらしい。名刺を持っていた理由は親友からもらった名刺を中々捨てれなかったからという理由。変なとこで頭は回るんだよ、この人。 「でも誰って聞いた時は俺って……」 「ああ、だって誰かに聞こえてたら面倒臭いだろ?」 「でもあの獣医さん三島さんのこと知ってそうな感じだったけど……」 「俺もあんな上手くいくと思わなかったんだよ。あのジジイが頭悪くて助かった。奇跡だありゃ」 ある意味天才だ、この人は。 気になりまくっていた時間を返せ。 聞いたら全然しょうもなくて聞くほどでもなかったわ。 「俺、正直ヤクザをしながら社長もしてるって展開を期待してたんだけど……」 「お前バカか?俺みたいな顔が割れてるヤクザに社長なんて出来るわけないだろ。ヤクザが社長できるならそりゃ奇跡だ」 まあそれはそうだよな……と納得してしまった。 とりあえず動き出した車は俺たちの自宅へと向かって行く。 「1回家へ帰ってこの獣達をハゲ達に面倒見させよう。そこから飯食いに行くぞ」 ハゲというのはたこ焼きさん。 「でも薬も飲まさなきゃだしガーゼも取り替えてあげた方がいんじゃ?」 「だからそんなもんハゲにさせりゃーいいだろ?俺はお前との時間を奪われてイライラしてんだよ。少しは気使え、クソ琉生」 「猫にヤキモチ妬いてるとか言わないで下さいね?」 「……この獣達はなんで琉生に愛おしそうに抱かれてんだ?」 可笑しくてププと笑うと殺気が俺を襲う。 チラッと隣を見ると俺をこれでもかといくらいに睨んでた。やっぱりこの顔はいつまで経っても慣れない。怖すぎてチビりそうになる俺に子猫が頭をスリスリとしてくる。可愛くてスリスリし返すとまた殺気を送ってくる俺の恋人。 「相手猫ですよ……」 「性器がついてりゃ全員敵だ」 「……それある意味名言ですよ。しかも子猫ちゃんも雌ですね」 「……関係ない。こいつは琉生の心を奪った泥棒猫だ」 「それ俺以外に言ったらドン引きされますよ」 〝お前以外に言うことねえから心配すんな〟 そう言いながらまた子猫を睨んでいた。

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