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紫恩と琉生

「だから〜兄さんなんかより俺の方がいいって〜ねえ?父さん」 「い〜や!父さんの方がいい〜って!琉生くんは俺のだー!」 九条家で飲み会らしきものが開催されなぜか今、俺の話で盛り上がっている。 「兄さん!琉生俺にちょーらい!」 「クソ息子!俺に渡せぇえ!」 みんなベロベロだし、何よりうるさすぎる…… 紫恩さんも少し酔ってるのか千晴の前でも組長様の前でも普通にキスなんてしてきちゃって。恥ずかしすぎて死にたくなるし、それを見て紫恩さんの手下達は「兄貴!早く結婚してください!」なんて騒いでるし。ほんとバカの集まりだわ。 盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、俺はこの状況より瑞希達のことが気になって仕方ない。連絡しても返ってこないし、電話をかけても『この番号は現在使われておりません』とかアナウンスかかるし、なんでだ?殺されたりしてないよな?心配で夜しか寝れない(この台詞誰かが言ってたな)。あんまり瑞希達の話をすると紫恩さん怒るし、言わないようにしていた。でも!これはチャンスだ!酔っている今!これはチャンス!だから紫恩さんに手招きをしてこっちに呼び寄せた。 「なんだ? 俺とキスしてたまらないのか?」 「……。少し聞きたいんですけど」 「今は気分がいいから答えてやる」 「まさかだとは思うんですけど……瑞希達の連絡先いじったりしました?」 眉をピクリと動かしてニヤっとした表情を浮かばせては俺の肩に手を回す。 「ああ、あいつらの連絡先?あいつらの連絡先なら偽造して連絡帳に入れといた。後、お前の番号も勝手に変えてるがなんか文句あるか?」 ニヤッとした表情を浮かばせてから気付いたよ。 犯人はこの男だって。 「……。なぜ?」 「なぜって?俺のこと殴ったからだ」 そう言えばそんな事もあったような……殴ったのは木南だけどね? 「殴ったのは木南でしょ……」 「関係ねえよ。そんなことよりお前気付いてないのか?あいつらできてるぞ」 できてる?なにが?なんの話してんの? 「その顔は気付いてないんだな。仲間外れにされて可哀想に」 だから何の話? 「俺らみたいな関係ってことだ」 「は!? なにそれ!? は!?」 俺のでかい声のせいで一斉にみんなが目線を向ける。「なになに〜?喧嘩〜?」となぜか楽しそうな千晴と、「兄貴が怒られてるー!」なんて言ってる手下達。いやそんなことよりさ瑞希達どうなってんの?俺が知らない間になにがあったの? 「だからお前は邪魔してやんなよ」 耳元で囁きながら俺の頬にキスなんてしてきて今日もムカつく。

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