76 / 104

〜危機〜

「はあ……なんで俺なんだよ」 酔い集達に「酒を調達してこい!」と頼まれて1人でコンビニへと向かっている。 「いらっしゃいませ〜」 (10缶あれば足りるよな?) ビール5缶とチューハイ5缶を持ってレジへと向かう。 「ありがとうございました〜」 コンビニの袋を持って家路を急いでいた時、突然誰かに声を掛けられた。 「お前、二階堂琉生だろ」 「……誰ですか?」 暗くてあまり顔は見えないけど鋭い目付きと不気味に笑っている顔はハッキリとわかった。 「連れを殺されたくなかったら黙って着いてこい」 「連れ……?」 「海原瑞希」 「……っ!?」 ポケットからスマホを取り出して何かを見せてくる男。そこに写っていたのは手足を拘束されている瑞希の姿だった。 「瑞希……?」 「さあどうする? 着いてこないなら今すぐこの男を殺すけど?」 いやそんなの選択肢は1つしかないだろ…… 「……わかった。 着いていく」 紫恩さんいつも迷惑かけてごめんなさいと心の中で謝って俺は男に着いて行った。 車に乗せられてそのまま知らない場所へと連れて行かれた。 「おりろ」と言われて着いた場所は山の中か……?見渡せば辺りは緑が広がっている。 山小屋みたいな所へと入っていく男の後ろを着いていき、入口の前で背中を蹴られギロリと睨むとまたニヤリとした表情を浮かべる。 「琉生!?」 「瑞希!? お前大丈夫か?」 「大丈夫じゃねえよ! なんで久しぶりの再会がこんな形なんだよ!おかしいだろ!」 「こっちのセリフだわ! お前なんで簡単に捕まってんだよ!アホなのか!?」 「寝て起きたらここだったんだよ!!」 〝ガッシャーン〟 こんな言い合いをしていると俺を連れてきた男がバットを振り回している。 「おめえらうるせーよ。 死にたいのか?」 「1番うるせえのはお前だわ!瑞希だけでも解放しろ!」 やばい、つい瑞希と同じノリで返事してしまった。案の定、男は血相を変えてこちらを睨んでいる。 男に聞こえない声で「このバカ」と瑞希が囁く。 いや俺ほんとバカ。 「あんたの目的はなんだよ!」 男にそう問うと狂ったように笑い出す男に悪寒が走った。 「アハ、アハハ、アハハ。恨むなら千晴を恨め」 千晴……?そう言えば…… ―― なんか最近俺の命を狙ってる奴がいるとかいないとか? って言ってたような……? 「それなら千晴殺せ!」 「お前恋人の弟によくそんなこと言えるな」 いやだってあの人達ヤクザだし。こんな男にはどう考えても負けないだろ。 ヤクザと付き合うなんてトラブルに巻き込まれていくようなもんだとは思っていたけど、関係ない周りまで巻き込むのは反則だろ……

ともだちにシェアしよう!