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〜初めての02〜

「は……?」 「証拠もある。見してやろうか?」 差し出された書類の名前には『二階堂政宗』確かにそう書いてあった。これは俺の父さんの名前だ。 「……なんで。 借金額は……」 「1000万」 「1000万!?」 「キミの父親の親友がわしらに金を借りてな〜 そのまま逃げたんだよ。まあご両親も逃げている今、キミが責任を持って1000万円払ってくれるか?払えないと言うならわしの組に入ってわしの身体の相手をしてくれるならチャラにしてやってもいいが。どうする?1000万円今すぐ払うか。わしに身体を売るか」 ニヤリとした表情を浮かべながら俺の顎を掴む男に悪寒がする。 それよりも1000万なんて額払えるわけないだろ。こいつに身体を売るのもごめんだ。他に何か方法は……ダメだ。何も出てこない。 諦めかけたその時、 〝ガチャッ ドンッ〟 扉が開く音がした。 (まさかまた仲間か……?) そんな不安が俺を襲った。 どんな時でも俺の味方でいてくれた両親。一人っ子の俺は愛されて育った。 それなのに初めて自分の両親を恨んだ瞬間だった。 連帯保証人になんかなってなければ俺はこんな奴らには捕まっていないかもしれないのに。 「その借金なら俺が全部払ってやるよ、ほらよ」 その声と共にばら撒かれるお金。 「え……?」 俺の愛しい人。 「待たせたな、琉生」 「え、そのお金……」 紫恩さんの隣には首根っこを掴まれている男が1人。 「おい、くそ鬼頭。 こいつお前の組の奴だろ? こいつから事情は全部聞いた。琉生の父親の借金額の倍の金とお前が会いたがっていた千晴を用意してやったぞ。殺すなら琉生じゃなく千晴を殺せ」 この人はいつもこうして、 「アハハ、大金じゃねえか 千晴はどこだ?殴り合いの喧嘩じゃねえ。殺し合いだ。今すぐ千晴をだせ」 俺を助けてくれる。 「俺らで組の奴ら何人死ぬかやってみる?まあ俺達は1人も死なないけどね」 千晴と俺を捕まえた男の言い合いすらも聞こえないほど周りが見えていなかったが我に返った時、辺りを見渡せば何百人と紫恩さん達の仲間がいた。その中には光輝さんもいて、すごい圧だ。 さすが紫恩さんも千晴も光輝さんも最強の指定暴力団なだけある。 その圧に圧倒されていると紫恩さんとなぜかちゃっかりいる木南が俺達の拘束されている手足を解いてくれた。 「……ありがとうございます」 「お礼はあとだ。後これだけは言っておく。お前の父親は毎月借金を返している。悪く思ってやるな。お前を育ててくれた俺にとっても大切な両親だ」 安心したせいなのか、それとも紫恩さんの優しさのせいなのか涙が溢れて止まらなかった。

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