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〜願い〜

――……」 「――……」 車内は無言なのに対して瑞希は未だにグースカといびきをかいて寝ている。 紫恩さんはどうなっているだろうか。その不安だけが俺を襲う。 その前に巻き込んでしまった木南に謝らないと。 「木南」 「はい?」 「……ごめん」 「なにがですか?どうせ先輩のことだから巻き込んでごめんとか言うんでしょ?」 木南にはやっぱりバレてたか。 「……うん」 「先輩のせいじゃないですよ。巻き込まれたなんて思ってないし、先輩も瑞希先輩も無事で何よりです」 木南はいつも優しんだ。 俺より年下なくせして俺なんかよりも全然大人で。そんな木南によく助けられてた。 瑞希と俺をまとめてくれるのはいつも年下の木南で。だから…… 「ほんと気にしないでください。今1番辛いのは先輩でしょ」 そういうこと言っちゃうからまた泣けてくるだろ? 「……ッス、グスン」 「え!? 俺泣かせるようなこと言いました!?」 「いや……いつもありがとう」 「そんな改まって言われても……」 本当に木南には感謝してるんだ。だから…… 「もし会えなくなっても瑞希のこと守ってあげてくれる?」 「え? なにいってるんですか?」 「俺はあの人と約束した。死ぬ時は一緒だって。だから……もしあの人が死んだら……俺は……」 俺は……後を追いかける。 俺にはもうあの人がいない生活なんて考えられないから。 「後を追いかけるって?」 「……」 「あの人がそんなこと本当に望んでると思いますか?そもそもあの人は死なないでしょ。死んだら俺笑ってやりますよ、だっせえって」 「……でも本当にっ「死にません。大丈夫です」 そんなこと言ったってただの殴り合いの喧嘩じゃないんだよ。殺し合い。紫恩さんじゃなくても千晴や光輝さんだって無事でいれるかなんてわかんないだろ。 「るい坊、話に入って申し訳ないが若は必ず帰ってくる。千晴も光輝坊ちゃんも誰1人死なせはしねーよあの人なら」 たこ焼きさんは俺の心を見透かしたようにそう言った。 木南もたこ焼きさんもそう言ってくれてるんだ。大丈夫。きっと大丈夫。 「おいクソ琉生!」 「は?」 寝ていたはずの瑞希が起きてきては俺の名前を呼んだ。 「お前らしくねえこと言うな!俺ら幼馴染超えて親友も超えて家族みたいなもんだろ!お前に死なれたら悲しむ俺の身にもなれ!ふざけんな!」 「……お前寝たふりしてたのか?」 「あ、起きるタイミングわかんなくて」 「……相変わらずだなお前」 瑞希のおかげで俺は少し気持ちが楽になった。 紫恩さんが無事で帰ってくることを願うばかりだ。

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