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〜夢から現実へ〜

1ヶ月振りの愛の確かめ合いも済んだし、 この1ヶ月どんな生活を送っていたのかと聞こうとしていた時、 「今からご両親に挨拶しにいこう」 いきなり俺の前に対面で座ってキラキラした目線で言ってくるもんだから「はあ!?」の言葉すらも出なかった。 「聞いてんのか?挨拶だ、今から」 「いや、え?なにいってんの?」 「だから結婚の挨拶に行くぞ」 「いや、だからとかじゃなくて俺プロポーズすらされてないんだけど?」 せめてプロポーズはしてもらいたい。 「俺に飼われているなら」とかじゃなくて、ちゃんと伝えて欲しいって思う俺はわがままなのか? 「……プロポーズ?なぜする必要がある?」 な、なぜだと……?え?そもそも結婚する前ってプロポーズするのが普通じゃないの?みんな「結婚するぞー」って軽い感じで決めちゃう感じなの?いや……そもそもこの男は俺からのプロポーズを求めてるとか? 「なぜ?ちゃんと言って欲しいって思うもんじゃないですか?そういうのって」 どうやらこの男は何も理解していないらしい。 俺の言葉にキョトンとした顔をしている。 「俺達は結婚するために今まで一緒にいたんだろ?もうお前も承知の上だったんじゃないのか?」 いや、そうなんだけどさ?改めてするからいんじゃないの?そもそも俺、結婚する!なんて言ったことあったけ?決して、紫恩さんと結婚したくないとかじゃないんだけどさ?何もかも色々早くない?順番間違えてない? 「……」 なんかムカついてきた。俺、女みたいじゃん。 プロポーズを待ってる彼女みたいじゃん。 俺は全然ロマンチックに膝まづいて「結婚してください」って指輪パッカーンでもしてくれた日には嬉しすぎて寝れなくなるよ? 「わかったよ、すればいんだな?」 いやいや、そもそも自分が主役になれる日が3回あるって言われているのは知ってる? 【誕生、死、結婚】それなのにこの男は…… 「そんな嫌々されても嬉しくないですよ」 「てめえは文句多いんだよ!どうして欲しいんだ?ああ?」 「言われなくてもするのが普通かと」 まあ所詮、男同士だし。 そんなこと期待したって無駄なのはわかってはいるんだけどさ、 ゴソッ、 夢くらい見てもいいじゃん? ゴソッ、ゴソッ、 「さっきからなにをゴソッ――え?」 なんか俺の夢が現実になったらしく膝まづいて指輪をパッカーンってする男が前にいて、 「一応、指輪は用意してたんだ」 うお、まじか。 「俺の指のサイズいつ測ったの?」 「寝ている時だ」 プロポーズされる女性ってこんな感じなのか。 「改めて……俺と結婚してくれないか?」

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