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第12話※
「ーーッ、おま、和夏になにして・・っ」
「何ってキスだけど?」
「っ、キスって、」
「いーじゃんこのくらい。言っとくけどもっと凄いこと和夏くんにしてるかんね?まあ、俺が和夏くんにつよーいお酒飲ませて酔わせたから好きにさせてもらったんだけど」
「っな・・!」
「で、俺が一方的に和夏くん狙ってんの。ねー、和夏くん」
ねー、と言われてもはいそうですなんて言えるはずもなく目線を逸らすことしかできなかった。
瞬はといえば絶句していた。そりゃあ親友がどこぞの馬の骨とも分からない男に抱かれていたなんて知ったら黙っていられないだろう。
・・それにしても宮は宮でなぜいきなり暴露したのだろうか。
「ーーっ、くそっ・・・俺は和夏がタチで寝取りやるだけならまだ良かったんだ・・。っ、こんなことなら俺が和夏をーー」
瞬になぜかぐいっと手を引かれたその時、
ースマホの着信音が部屋に鳴り響いた。
瞬はちっと舌打ちをし、俺の腕を離したと思えばそのまま電話に出た。
電話の内容からして職場からだろうか。
「わあ、ナイスタイミングで鳴ったねえ」
「・・・・・お前、なんで瞬に言ったんだよ。言う必要ないだろ」
和夏くんってホント鈍いよねえ、そうぽつりと呟いたかと思えば「瞬くんへの嫌がらせだよ」と笑うのだ。
まあ嫌がらせ以外ないだろうな。誰も親友の性事情など知りたくもないだろう。
ーーところで、先ほど瞬は何を言おうとしていたんだろうか。
今しがた電話を終えた様子の瞬を呼びかけると、いきなり宮の腕をがしっと掴んだのだ。突然のことで宮もきょとんとしている。
「和夏、職場から呼び出しがあったから今日は帰るよ」
「ねー、なんで俺の腕掴んでんの?」
「あんな話聞いたあとお前と2人きりにできるか。お前も帰るんだよ。
ーー和夏、仕事終わったらさっきのこと話さないか?」
「・・ああ、わかった」
「ごめんな、和夏」
じゃ、行くな、と宮を引きずりながら出ていく瞬。
その間宮はずっと子供のようにぶすくれていた。
俺は複雑な心境を抱えたまま、この場から動けなかった。
***
瞬と宮が帰ってから少し経ってからのことだった。
ーピンポーン
家のチャイムが鳴った。
瞬が忘れ物をしたのかと思い、誰か確認せずにドアを開けた。それが間違いだったのだ。
ガチャ、とドアを開け「なんだよ瞬忘れ物かよ」
と、その人物を見ると、背丈が瞬ではないことに気づいた。だがその時にはもう遅かった。
「ーー瞬くんじゃなくて残念だねえ、和夏くん」
最も聞きたくない声が降ってきた。
ーーーやばい。とドアを閉じようとした時、ドアノブを掴んでいた手を捕まれ、そのまま玄関に入って来たかと思えばバタンと閉じたドアに両手を押し付けられたのだ。
そのまま乱雑に口付けられる。
「ーーッ、んむ、」
「ん、っ」
ぺろっと唇を舐められたかと思えばそのまま口内に割って入ってくる。舌を絡め取られくちゅくちゅと卑猥な音が玄関に鳴り響く。
「んっ、は・・ぁ」
「っ、ふ」
いつの間にか宮は片手で俺の両手首を束ねていて、もう片方の手で首筋から鎖骨、鎖骨から小さな突起までつつーと手を滑らせるのだ。
「ーふ、ぁ・・んん・・ッ、や」
「ん、ん」
舌を絡ませながら胸をすりすり撫でると、突起をきゅっと挟みくにくにと弄ぶ。
「ーーッあ、・・ん、ん・・ッ」
「ん、玄関でこんなことされて興奮してるんだ?」
「っ、ちが、」
「本当かなあ?」と声が降ってきたと思えば、下半身の膨らみを手のひらで揉まれる。「んあッ」と声が漏れると
「ーそんなに声出すとご近所さんに淫乱だと思われるよお?」と囁かれるのだ。
ぎゅっと抱きしめられ尻を揉まれると、固く閉じた穴に指を押し付けられるのだ。声が出そうになり両手で口を抑えたがどうしても声が漏れてしまう。
「ーーッぁ、・・あ・・、」
「・・こー見えてもさあ、俺申し訳なく思ってるんだよねえ。和夏くんの体こんなに淫乱にしちゃってさ」
ジーンズ越しに入ってきた指の先が、ぐっぐっと閉じた穴の入り口を刺激すると、先日の宮との行為を思い出したそこは、宮のモノを受け入れたくてきゅううと震えるのだ。
「・・これきもちーの?今和夏くんのおしりきゅーってなったよ?可愛いねえ」
「ん、・・ぁ、・・・・ッん、ん」
強すぎる刺激に立っていられなくなり、宮の背中にぎゅっとしがみつくと、
「ーッ、はー・・・ホントそういうとこだよ、和夏くん」と余裕なさそうに呟く。
ーーもう、入れて欲しい。ねだる様に宮を見上げた時だった。
「ーーーあ、」
と、突然宮は体を離すのだ。
「え、」と思わずあたかも続きを期待しているような声がでてしまう。すると宮は
「バイトあったの忘れてたあ」
と、あっけらかんとした様子で言うのだ。
続きを欲している俺の体を見やると、
「また今度ねえ。和夏くん」
ちゅっと唇にキスを落としたかと思えば、宮は体を離しそのまま出て行ってしまった。
俺は火照った体の支えがなくなり、膝から倒れ込んでしまう。
ーー奴はなぜ用事があるにも関わらず戻って来たんだろうか。
それこそ嫌がらせ以外の何物でもないのだろう。
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