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第20話
「もー、うっさいなあ。俺は和夏くんに呼ばれて来ただけだって」
「んな訳あるか。どうせ俺を撒いた後すぐここに来たんだろ」
あの後、なぜ宮がここにいるのか聞くために瞬は家に入るが、裸でベッドにいておまけに顔がほてっている俺を見ると、更に宮に怒りが向いたのだ。
そんな瞬をなだめて宮に持ってきてもらった服を着ると、空いている場所に座って2人に向き直る。
俺の隣に宮。テーブルを挟んだ向かい側に瞬。
ーー3者面談のような絵面になってしまった。
なぜ宮の隣に座ってしまったのか、座ってから後悔した。
宮はなぜか嬉しそうだった。勝ち誇ったような表情を瞬に向けたかと思えば、宮の様子を見た瞬は少しイラッとした様子だった。
瞬はちらっと俺を見やるが、思わず顔を逸らしてしまう。そんな俺を見ると口を開いたのだ。
「・・・まー、その様子からして何があったかは察してる。でも和夏は本意じゃなかったんだろ?」
「ーーっ、」
″うん"と言えなかった。宮を家に呼び、誘ったのは他でもない自分だからだ。
答えられずに、唇をきゅっと結んだ時だった。
「ーーね、俺と和夏くんがそういうことしてて瞬くんに何か関係あるわけ?」
それに対して瞬は思わずは?と顔をしかめた。
「それこそお前には関係ないだろ。」
「ーーで、どうなんだよ和夏」
瞬は改めて俺に向き直るのだ。
勘のいい瞬のことだ。ここで誤魔化してもいつかはバレるだろう。軽蔑される覚悟で重い口を開いた。
「・・・俺がこいつを家に呼んだんだ。俺が服を着てなかったのは、・・・そういうことだよ」
少しの沈黙の後に、「・・・マジ?」と呟くと部屋にはしばらくの沈黙の時間が流れた。
口に手を当て、俯きながら何かを考えている様だった。
宮はというと、まるでこの状況を楽しむかのように俺の横顔をちらちらと見ていた。ちゃっかりテーブルの下で手を握られた為宮にアイコンタクトでやめろ、と訴えるとやめないよ、と言わんばかりにぎゅうっと手を握る力を強めるのだ。
すると瞬は深く息を吐き、
「・・・もし、和夏がそいつを好きで付き合ってるって言うなら、俺は応援してやる。悔しいけど・・」
と、静かに呟くのだ。
「ーーー俺が、こいつを好き?」
思わずぼそっと呟くと
「えっ」
と瞬が言うので、俺もまた
「えっ」
と返すのだ。
またもや沈黙の時間が流れると、
「好きじゃないのにこいつとは寝たのか?
・・・それならーーー」
すると、いきなり立ち上がったと思えばテーブルに手を付き、俺の唇に手を伸ばしてきたのだ。
「ーーそれ以上は駄目」
宮が腕をぱしっと掴んだ。
「和夏くんは俺の。和夏くんがまだ俺を好きじゃなくても、これから好きにさせるから」
「っな・・・、」
宮にいきなりそう言われ、顔が熱くなった。・・ということは、体を何度か重ねたこいつのことを憎からず思っているからなのだろうか。嫌な気がしなかったのが不思議だった。
満更でもない俺を見ると、瞬は
「分かった」
と息を吐くのだ。
「和夏がお前のことを嫌がってないのは分かった。でも、付き合ってないなら俺にもチャンスが無いわけじゃないだろ」
「え?」
瞬が言ってる意味を理解するのに少し時間がかかった。
そして、今までの俺に対する瞬のおかしな言動が今の発言と一致したのだ。
・・・まさか、瞬は俺のことがーーー
ーーすると、
宮の隙を付いた瞬は俺の肩に手を置いたと思えば、ちゅっと頬に口付けてきたのだ。
「ふはっ、和夏ってやっぱ鈍感だよな。・・俺、これでも結構アピールしてたんだけど?」
「なっ・・・!」
口付けられた頬を思わずばっと手で抑えれば、
「俺は諦めないからな?」
と、意地悪くにやっと笑う瞬の顔は、今までに見た中で一番男の顔をしているように見えた。
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