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side.Tamotsu
「あッ…ダメだよ、こんなトコで…」
「いーだろ…ちゃんと付けっから、な?」
残暑。
未だ眩い陽光が照りつける屋上でも、なんのその。
付き合い始めの僕らは…惚気全開に。
今日も恋に、盛りまくっていた。
ひとことでは表せないような事が、沢山あった。
上原君の初恋から始まり苦い失恋、
そして…僕の場違いな告白。
決して僕とキミが交わる事なんて無いんだって…
諦め半分、自分に言い聞かせながらも捨てきれなかった想いに。
『友達から。』
彼が持ち掛けた関係から、全てを仕切り直して。
若気の至りか…順序を違え、先にあんなコトをしてしまったりもしたけれど。
その経緯もあって僕、佐藤 保 は最愛の人…
上原 昭仁 君と、晴れて両想いになることが出来たんだ。
上原君は基本クールな人で。
世間から『不良』と呼ばれるだけあって、素行が悪い部分も度々見受けられたけど。
本当はとても優しくて意外と気遣いの人で。
たまに意地悪だったりするけど、なんだかんだで僕のコトを甘やかしてくれてると思う。
それは、いろんな意味で…。
「ンッ…やぁ…っ…」
「ヤじゃねぇだろ?俺のこんな締め付けといてよ…」
恋人になって再認識したコト。
僕の最強彼氏は────────スッゴク絶倫デス…
噂では色々と知ってたよ?
上原君の性事情…。
彼が僕の親友…綾ちゃんこと、水島 綾兎 君に恋する以前の、
数々の武勇伝を…ね。
こういう話って大体尾鰭が付いて、大袈裟になりがちだろうけど。
上原君が昔、誰彼構わず女の子と遊んでたってコトは…紛れもない事実。
思い切って聞いた時にバツが悪そうにはしてたけど。
否定はしなかったからね…。
そんな上原君も高3になってからは、一度もシてなかったみたいで。
反動、なのかな…?
付き合ってまだ一週間ほどだったけれど。
毎日こんな感じでエッチなコトを、いっぱいされてる気がする…。
嫌じゃないよ?
恥ずかしいけど、寧ろ嬉しいんだ。だって…
僕なんて普通だし男だし、チビでヒョロヒョロな…
惚れられる要素ゼロな人間だったから。
上原君みたいに、格好良くて喧嘩も強くて優しくて。こんな素敵な人に好きだって言って貰えたけど…
やっぱり何処か自信なくてさ。
だからこうして現実にキスされたり、
触れられたりするってコトが…
恋人として求められてるんだって、実感できるから。
恥じらいはすれど…
素直に全部受け入れて、今に至るんだけど────…
「あっ、あん…あアッ……!」
「は…保、声ヤベェって…」
「あっ、だって…止まんなッ…ああっ!!」
学校の屋上、しかもまだ昼休憩中。
たった数十分の休息も、僕らにとっては貴重なふたりだけの時間。
いつだって傍にいたい。
繋がって身体に刻み込んで欲しい。
じゃなきゃキミを好きって気持ちが大き過ぎて、
それに押し潰されてしまいそうになるから…
もっと、もっとって。
人に聞かせられるようなものじゃない。
男同士、こんな場所でセックスに勤しんでるとか…
けど、今は…それどころじゃないんだ。
「もッ、だめぇ…」
「いいぜ…イけよ、保…」
「ンうッ…いっ、あアァァ────…!!」
貴方に求められる幸福を、
一秒でも永く…感じていたいから。
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