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side.Tamotsu
「…で?何を気にしてんだ、お前。」
「んぇ…?」
セックス後の、汗ばむ身体と疲労感に。
上原君に背中から抱き締められ、その胸に寄り掛かりながら…余韻に浸る。
未だ激しかった行為のおかげで、僕は息も儘ならず。
対して上原君はさほど乱れた様子もなく、僕の頭に顎を乗せ呟くように。唐突にそう訊ねてきた。
「ちゃんと話せ。俺に聞きてぇコト、あんだろ?」
…どうやら僕が、ひとり悶々としていた事に気付いてたみたい。
「え、と……」
とは言われても、なんて聞けばいいのやら…
こんな事聞いたりして、呆れられたりしないかな?
ちょっと怖いや…
「保…」
ふわりと両腕で包み込まれ、後ろ髪にキスを落とされる。
更には穏やかな音色で囁かれる、僕の名前。
「恋人の俺に隠し事は無しだ。…な?」
「っ…うんっ…」
抱き締める上原君の手に、
おずおずと自分のそれをそっと重ねて…
僕は観念し、重たい口をゆっくりと開いた。
「うっ上原君は、その…経験、豊富だよねっ…」
「……まぁ、それなりに、な。」
これだけエッチが上手だと、嫌でも判る事なんだけど…。
「えと、だからっ…その─────」
次の言葉がどうしても出なくって、口ごもり項垂れてしまうと…
「……男は、お前だけだぞ。」
「ふぇっ?」
思わず見上げたら、眉間に皺を寄せた上原君の顔とぶつかる。
「女とは…正直、何人ヤッたか判んねぇけどよ。男と最後までシたのは、お前が初めてだから…」
それじゃ納得出来ねぇか?…と、バツが悪そうにしながらも。誤魔化そうとはしないで、真っ直ぐ見つめられて。
「僕、だけ…?」
付き合う前に一度だけ身体を重ねた時も、抵抗無くすんなり男の僕を受け入れてくれたから…
もしかしたら、どっちも経験済みなのかなって思ってたんだけど…。
「あ~…嘘じゃねぇ、けど…」
言うか言うまいか、
今度は上原君が言葉を濁し考え込んでしまい。
「…隠し事は無し、だよね?」
身体ごと向き合ってじっと目を捕らえたら。
「…解ってるよ。その代わり、絶対ヘコむなよ?」
うんっと僕が頷いたと同時に、5限目開始のチャイムが鳴り響いた。
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