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side.Akihito
「マジでコレ着んのかよ…。」
「…お前の所為だぞ、上原。」
秋と言えば一大行事の季節。
うちの高校は体育祭が春にあるから、この時期は文化祭と決まっていて。
むさ苦しい男子校でのイベントだが…
一般公開してるだけあって、毎年それなりに盛り上がってるらしかった。
俺達3年は、唯一食品関係の出店が許され。
下級生はそれ以外の店や展示が中心となっている。
で…俺と水島がいる3年1組は、多数決で洒落たカフェっをしようって事になったんだが────…
はっきり言ってこういう生徒が一致団結するような行事は、面倒だからとサボってばっかだったんだけど。
今年は水島と知り合った事もあり、ちゃんと参加するようにと何度も釘をさされたもんだから。
渋々というか、半ば強制ではあったものの…
まぁ、本音は保が俺と文化祭回るのを楽しみにしてたってのが…一番の理由だったんだがな。
…てなわけで、LHRを使って模擬店での係担当をクラス全員で割り当てる事になり。
なんて言うか…そのカフェってのが、ちょっとクセモンなんだよな…。
そこで俺は良いことを思いつき、水島を接客担当に推薦してやった。
水島は目立つのが嫌いだったし、料理が得意だからと調理班に加わりたかったみてぇだが…。
それじゃつまんねぇだろと、水島の意見は全て一蹴。
まあ、俺の意見に反対するヤツがいるわけもないから。やるしかないんだけどな。
そんなこんなで、無理矢理店員をやらされる事になった水島は。腑に落ちないといった表情で、しばらく立ち尽くしていたんだが────…
『なら…お前もやったらどうだ、接客。』
『は?なんで俺が、んなコト…』
しかしここは譲らないとばかりの、
異様なオーラを醸し出す水島の気迫に。
俺を含むクラスメイト全員が、気圧されてしまい…
結果…
「今度は上原君セットすっから、こっち来てくれる?」
「あ?…ああ……」
「水島君は次だから、衣装の着替えを済ませといてね~。」
「…解った。」
俺を怖がっていたクラスメイト達も、
最近の俺が随分と大人しくなったからか…普通に接してくるようになってきて。
ヤケに張り切ってテンション上げてんのは、衣装を自分でリメイクして作ったとか言う、被服関係を志望してるヤツと…美容師を目指してるらしいクラスメイト達。
賑やかなお祭り事が似合いそうもない水島でさえ、
何気に調理班にも携わったりして。
家でデザートをいくつか、仕込んできてたようだった。
てっきり、こういうのは苦手なタイプだと思ってたけど。案外好きだったりすんのかもしんねぇな。
「うはっ…カンペキじゃん!」
セットし終えた俺を眺め、満足げに頷く名前も知らねぇクラスメイト。他にも傍で見てたヤツらが目を丸くして、俺をガン見しやがるし…
髪弄っただけで、そんなイメージ変わんのか?
「んだコレ、落ち着かね──…」
されるがままにしていれば、いつの間にやら頭に付け毛やら色々と付けられちまってて。
同じ金髪に合わせたそれが、首に掛かってスゲェむず痒い。
「後は、この青色のカラコンはめて完成だよ~。」
強引に渡されたカラコンを、仕方なく嵌めてやる。馴染むよう二、三度瞬きしてからソイツらに向き直れば…
いきなり両手でガシリと掴まれ、喝采を浴びせられた。
「さっすが上原君!イメージ通り、異国風チョイ悪ウエイターの完成だよ~!」
おおっとクラス内がどよめき注目され、どうも居心地が悪い。
そうこうしてるうちに…
今度は水島が衣装を身に付け、戻って来た。
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