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side.Akihito
心当たりならごまんとある。
思えば相手の性格はどうあれ、一方的で軽率な行動だったな…と。
今更ながら、保に会う前の浅はかな自分を恨みたくなった。
まあ…俺も丸くなったって言っても、根本的にはそれほど変わっちゃいねぇだろうがな。
保の前ではなるべく大人しくしようとか、まっとうな人間にならねえとな…とか。
付き合い始める少し前から、色々と考えるようにはなってた。
(来るなら俺んとこに来いよ…けどな────)
コイツを、保を傷付ける奴は誰だろうと容赦しねぇ。
どうせ俺に話があんだろ?
なら直接かかってくりゃいいんだ。
けど、それでもし保を巻き込もうってんなら…
(ぶっ潰してやるまでだ…)
「上原君、僕かき氷食べたい!」
俺の腸 に潜むドス黒い感情など、知る由もない保は。無邪気にハシャいで俺のシャツを引っ張ってくる。
「あ?お前そういうのは、飯食ってからだろ?」
「え~イチゴ練乳美味しそうなのに…。ご飯と一緒に買って食べようかな?」
「いや、溶けるだろソレ…」
たわいのない遣り取りを交わしつつ、不安の種を今だけは隅へと押しやると。
腕を引く保に顔を緩めながら。
俺は賑わう人ゴミに紛れ、出店へと向かった。
「ん~かき氷も良いけど、チョコバナナも美味しいね!」
細っこい割に、きっちり屋台の焼きそばを山盛り平らげて。別腹だと言って更に甘ったるそうなモンを嬉々として頬張る保に、思わず苦笑する。
「そんな美味ぇのか?」
「あっ、上原君も食べたかった?」
既にチョコバナナを食べ終え、指に付いたチョコレートを舐めとりながらゴメンと告げられたが…
俺は丁重に首を振り、煙草の煙りをふうっと吐き出す。
「上原君て、甘いの苦手だっけ?」
「いや…別に嫌いってワケじゃねぇけどよ。自分でわざわざ買ってまで食べようとはしねーな。」
そっか~…と何やら考える仕草で相槌を打つ保。
美味しいのになあ…などと呟きながら、テキパキと食った後のゴミを律儀に仕分けし始める。
片付けを終えると、保は衣装の一部であるレースの手袋を取り出して。その細くて白い手にわざわざはめ直していた。
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