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side.Akihito
「たく、無理すんなって…」
「だっ、て…」
苦笑しながら頭を撫でてやると、保はモゴモゴと恥じらうのだが。
「…上原君は、ちゃんと飲んでくれたからっ…」
おんなじコトしたかったんだもん…とか。
なんとも愛らしい仕草で以て、俺の心をまたも鷲掴む。
「チッ…んなことなら、いっそ顔面にでもぶちまけときゃ良かったなぁ~。」
「へっ…?」
きょとんとする保の前にしゃがみ込み、ニヤニヤと笑みを浮かべて。
「顔射。そのカッコで精液塗れとか…堪んねぇよな。」
ワザと想像するみたく口元に手を当て告げると。
保はボンッと音がなりそうな勢いで、真っ赤になっちまった。
ウブなクセに、意外と想像力は豊かみたいだな。
「ははっ…けど、ヨかったろ?こういうのも…」
お互いいつもと雰囲気が違うってだけで、保の感度もスゲェ良かったし。
何より俺の方が、大満足だったから。
「次は最後までシてぇな~。」
「ええっ…!?」
独り言のように呟いた台詞に、保はオロオロしだし魚みてぇに口をパクつかせた。
ホントいちいち可愛いのな、コイツは…
「とりあえず元気出たな。」
「…え…?」
指に保の髪を絡めながら、優しく撫でてやり。
下から覗き込むようふわりと見つめれば、保は面食らったよう目を丸くする。
「また何かヘコんでたろ?」
「あっ……」
当人もすっかり忘れてたようで。
こりゃ黙ってた方が良かったかもな…と、内で苦笑う。
けど保は放置すっと、またすぐにひとりで悩み出すに決まってるから。不安の種は、出来るだけ早くに摘み取っておくのが得策だろうと思い。
俺は黙って、保が自ら打ち明けるのを待った。
「あの、ねっ…」
迷って口ごもる保だったが…。
ここは敢えて急かさぬよう、視線は交えたままで。
俺はただじっと構える。
「上原君…今日、文化祭に友達とか…呼んだ?」
「ダチ?」
うんと元気なく頷く保に、俺は表情を曇らせる。
「いや、俺にそんな仲良いヤツいねぇけど…」
内心、保の言葉に確信し。
悟られないよう当たり障りのない返事をする。
まだ肝心な事は、何も解っちゃいなかったが…
なんとなく嫌な予感がして。
もしそうなら、保だけは巻き込みたくないなと思い。
俺は胸に抱く不安の種を悟られないよう、奥へと仕舞い込んだ。
「そう、なの…?」
「ああ。いたとしても、前会った重野みてぇなヤツばっかだったからな。」
その名を聞いて、納得したよう苦笑いを浮かべる保。
けどまだどこか不安そうで表情が堅いから…
俺は保の顎に手をやり、こちらへと向かせて。
指の腹で唇を撫でながら、強い口調でこう告げた。
「保。お前は今でも自信ねぇってすぐ不安がるけどさ。俺はもう、お前しか見てねぇから。」
何があっても俺を信じろよ、と。
少しだけ命令じみた口調で以て伝える。
そんな俺の、いつになく真剣な眼差しを受け止めた保は。暫く黙って俺を見つめ返していたが…
「…うん、信じてる。」
はっきりそう応えると、込み上げる感情を抑えるかのように…下唇をキュッと噛み締めた。
保の気持ちが伝染したみてぇに、俺までグッときちまったもんだから。
らしくないソレを、誤魔化すよう保に顔を寄せて…
「…ん……」
愛しいその唇に、触れるだけのキスを。
何度も何度も落としていくのだった。
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