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side.Tamotsu
「うぅ…少しだけって、言ったのに…」
明日行けば学校も休みだけどさ。
僕の身体は既にガッタガタ。腕すら上げたくないぐらい、鉛みたく重いや…。
「あ?お前があんま可愛いコトばっか言うからだろ。」
あれだけ激しく動いてたハズなのに…。
いつもと変わらず、上半身裸で色気だけは割り増しな上原君。
「僕、絶対可愛くなんかないもん…」
どう見たってフツーだよ?
寧ろショボいって言われそうな部類の存在だよ?
なのに隣りで寝転んでる上原君は、ちょっとエッチな眼差しで僕を見つめてきて…
「可愛いーさ。じゃなきゃ俺が惚れるワケねぇ。」
そう囁いて、身体をくっつけ何度もキスをしてくれた。
「僕って卑屈になり過ぎなのかなぁ…」
自分に自信ないと、どうしてもマイナス思考になっちゃってさ。
そのうち上原君が呆れてしまって、離れてくんじゃないかって思ったら。どんどん自己嫌悪にハマって真っ逆さま…良くないよね、こういうの。
文化祭は最高だった。
今まで一番楽しかったって断言出来る。
キミと恋人になれただけでも奇跡的なのに。
こんな風に恋人気分まで満喫して、思い出を共有出来るなんて夢にも思わなかったよ…。
いつでもカッコ良くて素敵な上原君だけど。
文化祭でコスプレした姿は、普段見れないだけにスッゴく新鮮だった。
自分も女装なんていう、痛い経験までしちゃったけどね…。
本当に…幸せなんだ。
キミと過ごす時間はいつだって特別なものだから。
そう思う一方で、不安もかなり大きくなってしまった。
さっきの女の子達もそうだけど…もっと不鮮明だけど僕の中には確かに、文化祭が始まる前からずっと。
恐怖心にも似た何かが、燻り続けていたんだから…。
「そうだな…」
汗で額に貼り付いた僕の髪を、優しく鋤きながら。
ぽつりと答える上原君。
やっぱりそう思われてたんだと、
泣きそうな顔をすればガシガシと頭を撫でられて。
「俺はお前のそういうトコも含めて、気に入ってんだけどな。逆にひやっとさせられる時もあっから…」
「えっ?…ッ…~~!!」
思わずガバッと起き上がれば、駆使した身体が悲鳴を上げて。ガクンと崩れそうになるのを、上原君の腕が咄嗟に受け止めてくれる。
「たく…急に動くなよ。」
良いながら支えるよう、抱き締めてくる上原君を見上げ。いてもたってもいられない僕は、魚みたくぱくぱくと口を開いた。
「上原君、も…?」
不安になったりするの?
いつだって余裕で完璧で。なんだって涼しい顔でこなしちゃうような、上原君は。
どんな時でも堂々としてるから。
いちいち悩んだりヘコんだりは、しないもんだと思ってたんだけど…。
「バーカ。俺だって人間だっつうの。」
呆れたように笑って返すけれど。
それでも僕は信じきれず、目を瞬かせる。
「俺はお前が好きだってコトだけは、自信持って言える。けど、お前の気持ちまで見えるワケじゃねぇからさ…。それにお前、大事なコトなかなか言わねぇだろ?」
ひとりで悩んでんのかって思ったら、心配で堪らないんだと…。上原君はちょっとだけ寂しそうに笑った。
「ゴメンね、上原君…」
やっぱりスゴイや。
僕の事ちゃんと見てくれてるし、全部お見通しじゃないか…。
僕なんて自分のコトでいっぱいいっぱいなのにさ。
同い年なのに、なんでこんなに差があるんだろう。
あまりに僕が女々しくて情けないもんだからと、
俯いて謝罪を口にすれば…
上原君は慰めるように、僕をぎゅっと抱き締めてくれた。
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