32 / 117

30

side.Akihito 『放課後、校舎裏で待ってます────…高月 陸人』 たった一行に綴られた、簡素な内容。 問題はソコじゃなく… (高月(こうづき)、だと…) 差出人の名前にあった。 他人にはトコトン興味がねぇ俺だったが。 一応喧嘩で名を売ってた時期もあり、ソイツの名にはなんとなく聞き覚えがあった。 (確か1年だったよな…) 今年入学したヤツで変わったのが入ったと、裏では噂も上がっていて。なんでも一見大人しそうだが、喧嘩のスイッチが入ると別人みたく強いっていう… まるで機械人形みてぇなヤツなんだと。 俺は番張るとか、トップ狙うだとか全く興味ねぇし。 ソイツも喧嘩屋って呼ばれてる割には、欲のないタイプみたいで。 自分から手当たり次第に暴れまくる奴でも無かったようだから、今まで関わる事なく過ごしてたんだが…。 (上等じゃねぇか…) 保に目を付けるくらいだ。 勿論、俺の存在だって解ってるんだろう。 だったら、あるってことだよな? 俺のモノに手を出す、ってのがよ… 「上原君?」 「ああ…なんでもねーよ。」 考え込んだまま、険しい目で保をじっと見てたらしく…心配そうな声が下から掛けられて。 俺は安心させるよう、よしよしと頭を撫でてやる。 「誰にも渡さねぇから…」 「え…?」 やっとみつけたんだ。 だろうが、高月だろうが、 保と俺の関係を邪魔しようってんなら────… 誰だろうと、容赦しねぇ。 俺は未だ姿を現さない敵達に向け、宣戦布告する。 保はやらない。 傷つける者も決して許しはしない。 (守るって、決めたんだ…) 俺の為に、身体を張ってまで怒ってくれた時の記憶が。今でも鮮明に蘇る。 俺が不甲斐ないばかりに… 保に怪我を負わせてしまった事をずっと後悔して。 あんな思いは絶対にさせやしない。 俺はそう心ん中で密かに誓いを立て、固く拳を握り締めた。

ともだちにシェアしよう!