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side.Akihito その日の朝、あの手紙の事が気掛かりで落ち着かず、早めに学校へとやって来れば。 案の定が保の前に、現れやがった。 校門の所で、小っせぇ保の背中をみつけて。 安堵しつつも驚かせてやろうかと、こっそり近付いてみりゃあ… アイツ────高月(こうづき) 陸人(りくと)があろうことか、俺の保に告白なんざしてたってワケだ。 あのヤロウ…マジ気に食わねぇ。 保は保で、告白された当事者だってのに。 全然自覚してねぇしよ…。 保に惚れ『恋人』と言う枠に落ち着いて、まだ1ヶ月。 初めてまともに築いた、その関係で知り得た教訓は… 誰かを好きであり続ける事が、決して楽じゃねぇって事だった。 だからこそ、燃えんだけどな。 で、話は戻っけど。 高月のヤツは朝の宣言通り、あれから保にちょこちょこと絡んできてるらしく。こういう時ほどクラスが違い、教室の階すら別で離れちまってんのが、もどかしくて仕方ねぇ。 四六時中、保を見張ってるワケにもいかねぇから… 高月の野郎が俺の目の届かぬ所で、保に接触してきてんのかと思うと気が気でならず。 本音は醜い嫉妬心で、どうにかなっちまいそうだった。 問題の保の反応も微妙。 自分が男なんかに告白されるようなタマじゃないんだと、端から決め付けてるもんだから。 イマイチ高月の告白を、マトモに捉えてねぇみたいで…安心と言えば、安心なんだが。 マジ、どう思ってんだろうな…アイツの事。 「高月君?ん~…どうって言われてもなぁ。僕のコト好きって言うけど、恋愛感情って風には見えないし。普通に慕ってくれてるだけな感じするけどなぁ。」 保にヤツの印象を聞いても、そんな答えしか返ってこなかったが。 確かに、高月の意図は読めねぇ…。 無表情だし、今まで関わるコト事態なかったしな。 そもそもヤツが『保を好き』だってのも、なんだか腑に落ちない気がする。 もしかすると、実は俺に対する当て付けとかで。 遠回しに恋人である保を狙ってんのかとも、考えたけど。 噂で聞いた限りじゃ、そんな回りくどい真似するようなヤツには、思えなかったんだが…。 「心配しなくていいんじゃないかな?不良って言っても、そんな危なそうに見えなかったし。」 たった15分の休憩時間、移動教室までの僅かな道のりにも気が抜けねぇ俺は。 暇さえあれば、わざわざ保に連れ添って廊下を並んで歩く。 さすがにやり過ぎ感は否めなかったが…。 日増しに高月の態度も、馴れ馴れしくなってきたし。 呆れるかと思っていた保は逆に、そんな俺との時間をも楽しんでくれてるようで。 加えて相変わらずマイペースに、のほほんと構えてるもんだから。極力、傍にいるようにしてんだけど…。

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