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side.Tamotsu
上原君に至っては、何を聞いても「関わるな」の一点張りで、ちっとも教えてくれないし…。
(でも…)
先入観で決めつけたら、ダメなんだ…きっと。
上原君だってそうだった。
3年生になって、彼のひたむきな愛情に気付く前は、そこまで意識した事なんて無かったけれど。
やっぱりなんとなく耳にした噂が、僕とは別世界の存在みたいな印象を。植え付けてしまってたのは事実だ。
けどこうしてちゃんと接してみたら、実際はスゴく真っ直ぐで優しくて。ちょっと不器用なだけだったんだなって知れたから…。
理由もなく、高月君を嫌ったり拒んだりするのは。
違うんじゃないかと思ったんだ……けどなぁ。
「あのっ、ありがとう…助けてくれて。」
向かい合って突っ立ったまま、高月君は一向に話すどころか微動だにせず。上から僕を凝視してくるものだから…慌ててぺこりと頭を下げ、お礼を述べてみる。
それでも高月君は殆ど反応がなく。
僕をぼんやりと見つめていたけれど…
「別に。困ってるみたいだったし。」
と、変わらぬ表情と口調で静かに答えてくれた。
「そっか…ありがとう。」
もしかしたら、このコも上原君みたく不器用なコなのかもしれない。
タイプは全く違うけれど、なんとなく似たような雰囲気を感じるし。それで同族嫌悪?というか…何かと衝突しちゃうのかも。
やっぱり同じ不良さんだから。
ライバル心みたいなのも、あったりするのかな?
「なんで?」
「ハイッ?!」
物思いに耽ってたら、唐突に高月君から声を掛けられて。
「女装、したくないの?」
「え……」
言葉足らずな質問に、ハテナと首を傾げたら。
高月君は今度は直球に、そう付け加えてみせた。
いきなりなソレに、僕は困って頭を抱える。
「そりゃあ、僕も男だし。これ以上は恥、掻きたくないっていうか…」
普通したいとか思わないよね?
女装したくなるような容姿でもなければ、そういった趣味があるわけでもないんだし…。
…と、全うな回答をしたつもりだったけれど。
何故か高月君は、きょとんとして首を傾げてしまった。
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