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side.Akihito 『好きでいるのって─────』 保が漏らした本音が、グサリと胸に突き刺さった。 それは俺との関係が苦しいってコト…なんだろうか? そう考えたら、頭ん中がグチャグチャになっちまって。言い訳みたく頭に浮かぶ台詞すら、クソみたいに情けねぇもんばっかだったから… 結局は何も言えず。 その場凌ぎのキスで誤魔化し、縋りついてた。 保は俺が高月の話題を嫌う事に、少なからず不信感を抱いてたハズだ。 なら、ちゃんと事情を話してやればいいんだが… 自らライバル宣言してきた野郎の情報を、当の恋人に与えるなんてのは…どうも釈然としねぇわけで。 ただの嫉妬心だと認めれば、済む話なんだけどな…。 保がアイツの事を聞きたそうにするのを見る度、高月に興味あんのかよとか、まさか好きになっちまったんじゃとか… ホントひとり焦ってバカみてぇとは思うけど。 保の前だとつい意地張って、ムキになっちまうんだよなぁ。 そんな矢先での、あの発言は────正直ビビった。 保は多分で口にしたワケじゃ、なかっんだろうが…。 なんだか保が、俺の傍からいなくなっちまうんじゃないかって考えが過り。したら無理やり仕舞い込んでた不安が、一気に急浮上してきて。 失う事が怖ぇだとか…柄にもなく思っちまったんだ。 好きなヤツの前では常にカッコ付けてたい、 それが男の性ってもんなのに。 あん時は保に、スッゲェらしくない姿を晒しちまった…。 それでも保の方から好きだって…はっきり言ってくれたのには、かなり救われたし。 もしアレが無かったら、正直俺もどうなってたか…判んなかったもんな。 俺だってただの人間、万能なんかじゃねぇ。 寧ろ根本(こんぽん)は人一倍ワガママな上に不器用で。 その上かなり嫉妬深く、独占欲が強い方だ。 それらは全て、保と出会ってから知った感情だったけど…。 保が言う通り、本気で好き合うってのは楽じゃねーし。それで終われるもんでもない。 特に俺と保、水島や芝崎もそうだが…。 男同士っつう、一般的には真面じゃない関係…なんだからな。 今の所はそれで苦労する事はなかったけど。 いずれにせよ、この関係を続けていくつもりならば。 それなりの覚悟ってのは、必要なんだと思う。

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