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side.Akihito
(俺がしっかりしねーと…)
高月の事だってそう。
彼氏持ち…しかもこの俺を、敵に回しても引かねぇようなヤツだ。他の野郎共みてぇに、ほとぼりが冷めるまで待つ…なんて甘っちょろい考えは、捨てた方がいいだろう。
やるなら正面きってやらねぇとアイツはダメだろうな。喧嘩になったら、保が嫌がるだろうがよ…。
それに高月だけじゃねぇ。
どうやらアイツも、保の周りを彷徨 いてるみてぇだし。早めに手を打たなきゃ…俺の過去の過ちに、保を巻き込むなんて事だけは。
もう二度と、あってはならねぇんだ。
(とりあえず、高月とは一度話をつけねぇとな…)
なら早速今日辺りにでも、ケリを着けてやろうか…
そう意気込んでいた矢先の事だった。
「話、あんだけど。」
偶然か、それとも掌の上か。
向こうから俺を訪ねてきやがった。
「放課後、校舎裏。ひとりで来い。」
1年のクセに、堂々と3年の教室までやって来た高月は。戸口から俺を認めるなり、淡々と言い放つ。
互いに火花を散らし合えば、教室内の空気が一瞬で重苦しいもんに変わっていった。
「テメェ…上等じゃねぇか…」
一触即発な雰囲気でありながら、高月は要件だけを告げるとすぐさま背を向ける。
放課後だとか待ってられねぇ、なんなら今すぐにでも────…そう思い立ち上がったら。
「上原…?」
心配そうに表情を強ばらせた水島に呼び止められ、
上げた熱をギリギリのとこで押し留める…と。
そうこうするうちに高月の野郎は、いなくなってしまった。
未だ沈黙を貫くクラスメイト達が、俺を遠巻きに息を飲み。
「水島…」
唸るよう絞り出した声に、全員がビクリと肩を揺らす。
「…なんだ?」
唯一冷静さを保っていた水島が返事をしても、俺はその姿を顧みる事なく。
「保には…絶対に、言うなよ。」
ヤツが消えた先を睨み付けながら、
いつもより強めの口調でそう、命じていた。
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