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side.Tamotsu
「こっ…あ、陸人君は?」
その様子がなんだか放って置けなくて、僕は怖ず怖ずと口を開く。
陸人君はきょとんとして僕を見つめてくるから…。
どうしようかなと迷いながらも、僕はそのまま続けた。
「そのっ…文化祭終わってからね、僕…女装の事とかでからかわれてるって、言ったでしょ?」
実は陸人君の他にも、何人かに告白みたいな事をされたんだけど…。
「中にはね、明らかに冗談で言ってくる人もいてさ。だから、えっと…」
陸人君がそういう事するような人じゃない、と解ってはいたけど。
僕なんかを本気で好きになるだなんて、上原君だけでも奇跡なのに。そうそう有り得ないよねって、思うから…。
「俺は…」
陸人君は目を揺らし、戸惑いを隠すよう俯き言葉を詰まらせる。何か伝えようと、口を開きはするんだけど…。
それが叶わず、出掛けた言葉はすぐに飲み込まれ…忽ちお互いの間に、重たい空気が流れた。
「あ、ゴメンねっ…変なコト聞いちゃって。別に陸人君が、僕をからかってるって思ってるワケじゃないから…」
失言に慌てて手をパタパタと、言い訳するも。
陸人君は完全に表情を曇らせ、難しい顔で僕から目すらも逸らしてしまう。
「ホント、ゴメン…」
それからはどうにもならず、お互い口を閉ざしたまま帰路を進んでいたのだけれど───…
「よぉ、偶然だなぁ…陸人?」
突如、立ちふさがるように現れた少年達に。
陸人君は素早く反応して、僕を背中へと隠す。
「和博 …」
自身を名指しした少年を見据え、同じく名を口にした陸人君。
どうやら、彼らと知り合いのようだったけれど…。
陸人君が“和博”と呼んだ少年は、なんとも嫌な笑みを湛えており…。あまり良い印象を受けない。
対する陸人君も眉間を強張らせ、敵意とも取れるような空気を醸し出しているものだから。
僕も緊迫した雰囲気に飲まれ、思わず肩を竦めた。
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