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side.Tamotsu 「どうかしてるって言えば…お前も相当イカれてんじゃねーの?」 人気の無い、ジメジメとした路地裏に誘導され。 和博…という少年が挑発的に言い放つ。 対して陸人君は無表情のまま、彼の言葉を聞き流していた……のだけど。 「そんなシケた野郎に惚れるなんてよ?顔が良い割に、昔からお前は趣味悪ィよな。」 顎で僕を示し嘲笑った途端、表情を険しくさせ彼を睨み付けた。 「趣味悪ィのはお前だ、和博。この人を悪く言うなら…例えお前が相手でも、俺は容赦しない。」 珍しく感情を剥き出しにした陸人君に、和博君は怯んだよう一瞬目を見開く。 「は…強がりも今のうちだぜ、陸人?」 たじろぎながらも踏みとどまり、彼は目配せしてみせる。すると控えていた仲間の少年達が僕らを壁際へ追い詰めるよう、ぐるりと囲んできた。 逃げる術はまず無く、内心恐怖に苛まれる。 そんな僕を、陸人君は庇うようにして一歩前へと踏み出した。 「いくらのお前でも、これ以上は見過ごせない。」 「フン…そりゃ俺の台詞だ陸人。せっかくと勝負出来るよう、お膳立てしてやったのによぉ。」 会話から漸く、ふたりの関係が判明したものの。 それより何より…僕はこの場での名前が出てきた事に驚かされる。 「そのために、ヤツの恋人だっていうソイツに近付かせたってのに…。まさかミイラ捕りがミイラになるなんて、なぁ?」 とんだ役立たずだな、と。 従兄弟であるハズの陸人君を、鼻で笑い飛ばす和博君。 そんな彼を、陸人君はひどく冷めた表情で見据えていた。 それはまるで、同情でもしているかのように。 「ホントどうしようもないクズだな、お前は…」 呆れ口調で小さく吐き捨てる、陸人君だったけれど。 見上げた彼の表情は、やはり血縁者である和博君を完全には見捨て切れないみたいで。その目は怒りと深い悲しみに似た感情に…揺れ動いているかのように思えた。 「なんとでも言えよ。刃向かうなら…こっちも容赦しねぇからな!」 言うや否や、拳を振りかざしてきた和博君に。 陸人君は一瞬迷った分だけ、反応が遅れてしまったけれど…。 そこはギリギリ半歩身をずらすことで交わし、手にしていた荷物を咄嗟に投げつけ、応戦する。 買い物袋は勢い良く和博君の顔目掛け、飛んでいったけど。 ぶつかる寸前、拳でグシャリと凪払われ…地面へと叩き付けられてしまい。それらは無残な姿に成り果て散乱していった。

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