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side.Tamotu 「保、サン…」 「ごめんっ、ごめんねッ…」 年下のキミが頑張ってるのに、僕は何も出来なかった。 それどころか、僕なんか庇ったせいで怪我までさせちゃうなんて。ホント情けないったらないよ…。 だからこんなダメなヤツ、嫌われたって当然なんだ。 好きになってくれたのも何かの間違いかもしれないし、きっともう───… 「ッ…ふぇッ……」 糸が切れたみたいに、溢れ出す感情は。 決して今起きたばかりの惨事が全てではなかった。 考えないようにしてた一番の(しこり)。 その上に色んなモノが合わさって…。 僕はもう訳も判らず、感情に任せ。 ただただ泣きじゃくってた。 「保サン、泣かないで…」 優しく髪を梳いていた手が、ふわりと僕の頬を包み込んで。じわじわと彼の熱を伝わらせる。 目が合えば、陸人君はとても辛そうに唇を噛み締めて。僕を細く見返した。 「陸人く…」 名前を呼ぶと、僅かに揺れる瞳。 そこには普段見せる事の無いような、彼の感情が滲み出ており…。真っ直ぐ僕に向けられるから、ぼやける視界で懸命にそれを見上げた。 街中にも関わらず、辺りは異常な静けさを保ってて。 僕の啜り泣く声だけが建物の隙間に響き渡る。 「っ─────…」 そんな中、徐に近付く陸人君の顔。 混乱した頭と、ぼやけた視界に。 一瞬反応出来なくて… 「ンッ……」 気付いた時にはもう… 僕の唇は、彼のによって塞がれていた。 突然の事に状況が把握出来ず、思考は真っ白になり。 入り乱れる頭の中でなんとか整理する。 けれども僕がソレを理解するよりも早く。 陸人君の顔は、ゆっくりと離れていった。 「ぇ…ッ……」 信じがたい展開に、絶句する僕。 対して陸人君はというと、どこか吹っ切れたような…爽やかな表情をしており。 それが余計に、僕を困惑させる。 (な、なん、でっ…?) キス、今の、キス…されたんだよね?…と。 改めて自身に問い掛ける。 一体全体、どうしてこうなったのか? パニック状態でひとりオロオロしてると、陸人君はふわりと苦笑いした。 「とりあえず、買い物し直そう?」 唐突にそう切り出し、微笑む陸人君は。 さっきまで喧嘩してた人物とはかけ離れ、清々しいとばかりの表情を見せつける。 あまりの変わりように目を瞬いた僕は。 何を思ったか、さりげなく差し出された手を反射的に取ってしまっていた。 (─────いいもの、見~ちゃった。) そんな陸人君の大胆な行動に振り回されていたから。 僕は気付かなかったんだ。 このキスが。 更に僕と上原君の関係を… 追い詰める事になるだなんてことには。

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