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side.Tamotsu
「あんたこそ…アレ、何処で手に入れたんだよ?」
言って陸人君が指し示したのは、僕が落としてしまったデジタルカメラで。
「マキと…会ってたんじゃねーの?」
「え…?」
その名前を聞き、僕の胸がざわりとして熱くなる。
「だからなんだってんだよ?」
どうでもいいだろと言わんばかりに、話を流そうとする上原君だったけど。
僕の方が、納得出来なかった。
「今日も、会った……の?」
変に冷静さを取り戻した僕の、呟くような疑問に。
上原君は陸人君から手を放し、こちらへと振り返る。
目が合えば、お互い真剣な表情で。
僕は黙って、上原君の答えを待ち侘びた。
「アイツが勝手に家まで来ただけだ。んなコトより…」
「そんなコトじゃないッ…!」
堪らず声をあらげた僕に、上原君は面食らって言葉を失う。
珍しくも僕が怒ってるからか。
その目はかなり困惑したよう、揺れていた気がした。
「なんで…あのコとはなんにも無かったって、信じろって言ったよね?なのに何でまだ会う必要があるの!?」
今まで抱え込んでた不安が一気に爆発したみたく、
僕は捲し立てる。
と、上原君はピクリと眉間に皺を寄せ、反論に出た。
「あ?…何キレてんだよ。お前だってコイツに関わるなってあれほど言ったのに、コソコソ家まで連れ込んでるじゃねえかよッ!!」
「な、にそれ…じゃあ僕は何しても許されないのに、上原君は何でも許されるって言うの!!」
ダメだ、頭では解ってても止められない。
一度外れてしまったものは、そう簡単には戻りそうにもない。
「僕には陸人君に会っちゃダメだって言っておいて、自分はあのコと会ってるんじゃないかっ!なのに、なんでッ…」
対する上原君も譲る気など無いらしく、僕の発言に目敏く反応する。
「陸人君…だぁ?キスしただけで、もうそんな仲良くなっちまったてのか?」
「なっ…」
何がなんだか判らず、各々怒り任せに口走る。
陸人君がいる事だってもう既に頭に無かった。
「ッ…そうだよ!!上原君だってマキ君と仲良く抱き合って────」
言い切るより早く、ガンッと鈍い音を立て…
上原君の拳が壁へとめり込む。
反射的に身を竦めた僕は、堪らずぎゅっと目を瞑った。
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