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side.Tamotsu 「そう、だったの…」 僕は包み隠さず、全てをお母さんに打ち明けた。 同じ学校の男の子…上原君を好きになった事。 そのきっかけと、恋人同士になった経緯から今現在、喧嘩してしまったことも何もかもを、だ。 受け入れ難い内容にも関わらず、お母さんは大して取り乱す様子も無く。ただ黙って頷きながら、僕の話をちゃんと最後まで聞いてくれた。 話した事で幾分楽にはなったけれど。 次には罪悪感に苛まれてしまう。 うちにお父さんはいない。 兄弟もいないから、家族は僕ひとりだけだ。 なのに僕はお母さんを裏切り…男の人を好きになってしまった。 上原君への想いが、悪い事だとは思われたくはないし、思ってもいない…けど。 僕はきっともう、普通に他の誰かを…彼以外を受け入れるなんて考えられないから…。 「…………」 様々な不安を胸に、恐る恐る母を見上げれば… ふくよかな顔をくしゃりと綻ばせ、笑う。 「保は…上原君の事が、本当に大好きなのね。」 そう告げるお母さんは、何故だか嬉しそうだった。 「怒らない、の…?」 「どうして?」 僕の疑問にきょとんとするお母さん。 僕は言葉に詰まり口ごもる。と、 「あら、素敵じゃないの。そうそう無いわよ~、本気の恋だなんて。」 若いって良いわね~と。まるで世間話するみたく、お母さんはさらりと言ってのける。 「う、上原君は…男、なんだよ?普通はヤなんじゃないの…?」 「彼、とってもイケメンさんなんでしょう?お母さん、是非会ってみたいわ~!」 呆気にとられる僕を余所に、お母さんはまるで乙女と言った仕草で手を合わせる。 なんか展開が斜め上を行きすぎて、頭ん中はぐちゃぐちゃ。僕はどう反応したらいいのかが判らず、オロオロするばかり。 対するお母さんは悪戯っぽく笑うと、僕の頭をぽんぽんっと撫でてみせた。 「いいのよ、保が本気で好きになったのなら。悩まないでさ、もっと欲張りになっちゃいなさいよ?」 あんたはすぐ遠慮しちゃうんだから。 悪いクセよ~、と。笑い飛ばす母に。 「でもっ…ケンカ、しちゃったし…」 それでもまだ、前向きには考えられない僕。 今度はパチンと、両頬を叩かれた。 優しくだけどちょっとだけ、痛い。 「じゃあずっと擦れ違ったまま、お別れでいいの?それで保は納得出来る?」 言われてヤダと、子どもみたく首を振れば。 お母さんは頬を包み込むようにして、僕の目をじっと捉えた。

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