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side.Tamotsu
「さあ、どうする?このままだとキミ、みんなに輪姦 されちゃうよぉ?頼りの王子様とは、ケンカ中だし…ねぇ?」
追い詰められた先に浮かぶ人は、やっぱり上原君だったけど…。彼を散々傷付けた分際で、助けだけ求めるだなんて都合が良すぎるだろう。
それでもつい叫びそうになるその名前を。
僕は喉元ギリギリのところで、なんとか押し止めた。
「ほらほら~助けてって呼んでみなよぉ?まあ、今のキミを助けてくれるヤツなんて───…」
助けなんて絶対に呼ばない、呼べない。
これは僕自身の闘いなんだから。
例えこの身が傷付く事になったとしても。
ここは自分で何とかしなきゃ、ダメなんだから。
だから…
「僕にはキミが何をしたいのか、やっぱり理解出来ない、けど…」
マキ君のやり方は、どんな理由があるにしろ、決して許される事じゃないから。僕は折れそうになる意思を奮い起たせ、もう一度マキ君の方を仰ぎ見る。
「キミにだけは、負けない。」
こんな僕にだって、譲れないモノがあるんだ。
「ッ…かじゃねーの…!」
憤怒するマキ君の号令と共に、少年達が行為を再会する。
僕は何があっても、最後まで抵抗する意思を固め。ギュッと目を閉じたその時────
『もうやめろ、マキ───』
入口から届いたその声に、
しんと辺りの空気が止まった。
弾かれ仰ぎ見たその先には、
「ぁ…………」
一瞬でも、『キミ』なんじゃないかって。
思ってしまった自分が恨めしい。
だって、視線の先にいたのは…
「陸人く、ん…」
思い描いた、金髪のその人ではなく…
陸人君、だったんだから。
「あらら…期待外れ、だったみたいだねぇ?」
思わず意気消沈する僕を目敏く見つけ、マキ君は勝ち誇ったよう嘲笑うけど。
すぐさま陸人君に視線を戻し、警戒するかのよう彼を睨み付ける。
僕も釣られるよう陸人君を見やれば。
彼は息も切れ切れ足早に、こっちへと近付いて来た。
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