104 / 117
102
side.Tamotsu
「勝手に…盛り上がってんじゃねーよ!」
誤解が解け、穏やかに見つめ合う僕らが面白くないのか。マキ君は声を張り上げ、無理矢理に空気を両断してくると。
まだ勝算はこちらの手の内にあるのだと…僕という人質で以て、彼は乱暴に誇示してみせる。
そんなマキ君を、上原君は終止冷ややかに眺めていた。
「いい加減にしろ、マキ…」
「は…何が?悪いのは全部、お前じゃないかッ…!」
言い訳のよう捲し立てるマキ君に。
上原君は瞼を閉じ、一呼吸置いて見開くと。
「そうだな。だから今日、ケジメをつけに来たんだよ。」
発端は全て、己が犯した軽はずみな行動の所為。
当時は煮詰まっていたために、道を踏み誤ってしまったが…
だからと言って、こんなことが許される道理は無いのだろう、と…。
「けどよ。保まで巻き込むってのは…筋が通らねぇよな?」
不良が相手なら喧嘩上等。
シンプルに拳で、示してやればいい。
「今までは…お前がシロウトってのもあったし。俺に比があったから、大人しくしてたけどよ…」
お前があくまでも、保を傷付けると言うならば。
「全力で…ぶっ潰してやる。」
後悔して泣きを入れても、容赦なく徹底的に。
その鋭い眼光に射抜かれたら、ひとたまりもない。
それほどまでに。
上原君の言葉は、絶大な破壊力をもたらした。
ともだちにシェアしよう!