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side.Tamotsu 「勝手に…盛り上がってんじゃねーよ!」 誤解が解け、穏やかに見つめ合う僕らが面白くないのか。マキ君は声を張り上げ、無理矢理に空気を両断してくると。 まだ勝算はこちらの手の内にあるのだと…僕という人質で以て、彼は乱暴に誇示してみせる。 そんなマキ君を、上原君は終止冷ややかに眺めていた。 「いい加減にしろ、マキ…」 「は…何が?悪いのは全部、お前じゃないかッ…!」 言い訳のよう捲し立てるマキ君に。 上原君は瞼を閉じ、一呼吸置いて見開くと。 「そうだな。だから今日、ケジメをつけに来たんだよ。」 発端は全て、己が犯した軽はずみな行動の所為。 当時は煮詰まっていたために、道を踏み誤ってしまったが… だからと言って、こんなことが許される道理は無いのだろう、と…。 「けどよ。保まで巻き込むってのは…筋が通らねぇよな?」 不良が相手なら喧嘩上等。 シンプルに拳で、示してやればいい。 「今までは…お前がシロウトってのもあったし。俺に比があったから、大人しくしてたけどよ…」 お前があくまでも、保を傷付けると言うならば。 「全力で…ぶっ潰してやる。」 後悔して泣きを入れても、容赦なく徹底的に。 その鋭い眼光に射抜かれたら、ひとたまりもない。 それほどまでに。 上原君の言葉は、絶大な破壊力をもたらした。

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